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Atelier Eren/アトリエ・エレン ヴァイオリン製作とファンタジーを綴る日記

【アンティーク】20世紀アメリカの懐中時計「ハミルトン・ウォルサム」

20世紀アメリカの懐中時計

『今回の記事は懐中時計の歴史編Vol.4となっております』

アメリカの懐中時計はイギリスと同じく「鉄道」が大きく発展に関わりました。アメリカでは1830年頃から鉄道網が発達し始め、1869年には広い国土を誇るアメリカの中西部と西海岸を結ぶ鉄道網が開通しました。すると正確な時間を知るために「懐中時計」の必要性が高まり、多くのメーカーが懐中時計を作り出しました。手工業中心であったイギリスとは違い、部品を規格化し工業で大量生産することを推し進めたアメリカは量産に成功、イギリスに取って代わり、スイスと並ぶほどの懐中時計産業に上り詰めました。

【ウェブ・C・ポールの時計監査】

1891年にオハイオ州で列車の衝突事故が起こり、多くの死者を出しました。原因は機関士の時計が「4分遅れていたこと」でした。「時間」を正確に管理しなければ、再び凄惨な事故が起こっていまうと判断した鉄道会社は「ウェブ・C・ポール」という時計監査官に鉄道の運行に関わる時計の一斉点検・適正な検査方法の確立を依頼しました。

・文字盤の見やすさ

・ケースの大きさ

・リューズの位置

・ムーブメントに使用する石の数

など

この基準はかなり厳しいものであり、基準を突破できるメーカーは多くはありませんでした。しかし逆に突破できたメーカーは信頼のできるメーカーと認定されました。有名どころとしては「ハミルトン」「ウォルサム」「エンジン」などが挙げられます。

ハミルトン

ハミルトンは1892年にペンシルベニア州ランカスターに生まれた時計メーカー。ハミルトンは鉄道時計として発展したメーカーであり、ウェブ・C・ポールによって制定された「鉄道時計の仕様」に沿った正確な時計を製造しました。


現在でも有名な時計メーカーの「ハミルトン」の懐中時計。この懐中時計はアラビア数字の立体的で若干角ばった数字が特徴的です。

こちらも「ハミルトン」の懐中時計。分針のデザインと丸みのある数字フォントに特徴があります。

これもまた「ハミルトン」の懐中時計。大きい数字で見やすいデザインで、針が細身です。どの懐中時計も秒針はスモールセコンドでの表示になっています。

イリノイ・ウォッチ・カンパニーというイリノイ州の企業によって作られた懐中時計。のちにTictac等のカジュアル時計店での高級時計に位置する「ハミルトン」に買収されます。大きめで見やすい文字が特徴です。

ウォルサム

ウォルサムもハミルトンと同じく「鉄道時計の仕様」に沿った正確な時計を製造しました。ちなみに1859年〜1885年までは「アメリカン・ウォッチ・カンパニー」と呼ばれていました。

ウォルサムは1850年に創設、なぜか何度も社名を変えたという「若干ややこしい会社」です。20世紀アメリカにおける懐中時計黄金期を支えた義業ですが1949年に破産し倒産しました。

※下記の社名は全部ウォルサムです。

American Watch Co.

American Waltham Watch Co.

Waltham など


ウォルサムのクロノグラフ懐中時計。センターセコンドにクロノグラフの針が付いています。


12時の下に付いている「パワーリザーブ」という機能付きの時計。パワーリザーブはゼンマイを巻き上げた量がわかる機能で、現代の機械式腕時計にも使われている機能です。メーターの一番右端がD’Nでパワーがない状態、一番左端がUPでパワーMAX状態を意味します。


ウォルサムの初期の懐中時計(アメリカン・ウォッチ・カンパニー時代)。ウェブ・C・ポールによる「鉄道時計の仕様」が制定される前の時計と言われていて、19世紀にイギリスで流行したデザインに似ています。時間が見づらいと判断されたのか、アメリカの「鉄道時計の仕様」を満たした時計はアラビア数字で大きな文字の懐中時計が多いです。


18世紀後半にアメリカン・ウォッチ・カンパニー時代に作られた時計といわれています。「ウィリアム・エラリー」というアメリカ独立宣言に署名した人物をモデルとした「W.エラリーモデル懐中時計」です。割と安価だったらしく、南北戦争(1861-65年)中に兵士の間でブームとなり、売れに売れたモデルらしいです。

エドワードハワードの懐中時計

アメリカの懐中時計で有名なのは「ハミルトン・ウォルサム」ですが、他にも幾つかのメーカーが時計製造に携わっていました。その中の一つ、E.Howard Watch Co.(ハワード)は1858年にエドワード・ハワードが創設した時計メーカーです。ハワードの時計は懐中時計以外にも道路や建物にも幅広く利用されました。


アメリカのE.Howard Watch Co.製(ハワード)の懐中時計。文字盤の数字・針に特徴があり現代でのいう「ゴシック」な雰囲気を感じます。内部全体には機械式ムーブメントが敷き詰められています。


「鉄道時計の仕様」に沿って造られたモデル。この時代の普遍的デザインです。どのメーカーも19世紀〜20世紀にかけて製造された時計は、ほとんどが「鉄道」の為のものでした。

まとめ

・20世紀アメリカの懐中時計は「ハミルトン」「ウォルサム」という2大メーカーがあった。

・ウェブ・C・ポールによって制定された「鉄道時計の仕様」に沿った精密な時計が作られた。

・見やすさ重視のため、アラビア文字を使ったインデックスが多い。

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