バロック時代の音楽ってどんな特徴があるの?

ルネサンス期においても音楽自体は成立していましたが、当時は1オクターブを12等分した音律「平均律」が確立されていなかったため、器楽曲の合奏においては「音律の不一致」が見受けられました。
しかし音楽の父と称されるJ.Sバッハが「平均律」を確立させたことにより音楽は急速な発展を迎えます。
これがクラシック音楽史の始まりともバロック時代の出来事です。

この時代に活躍した代表的な作曲家といえばバッハ・ヘンデル・ヴィヴァルディが有名ですが、楽器そのものが発展した時代であることも見逃せないポイントです。
今回はバロック時代がどんな時代で、どんな音楽が奏でられたのかをマニアックにならない程度に紹介します。

バロック音楽

バロックという言葉の由来

バロック芸術はルネサンス芸術の後に始まった芸術運動であり、ヨーロッパ諸国の絶対王政を背景に、ルネサンスとは異なる発展を見せました。

この芸術運動が行われた時期に作られたのが音楽こそが「バロック音楽」というわけです。

バロック美術・バロック絵画・バロック彫刻といった言葉も存在しますが、一番有名なのは音楽だと思います。

バロック様式

バロックという言葉の由来

当時の芸術家は「俺たちの芸術はバロックだ!」などと言ってる人はいなかったわけで、自分達のことを古典主義であると考えていました。

しかし、この芸術運動が始まったばかりのころは「比喩的な意味で、いびつ、奇妙、不規則」といった決してポジティブではない意見が飛び交い、やがてポルトガル語で歪んだ真珠という意味を持つバロックという言葉が定着したといわれています。

ただ、次第にバロック芸術の評価は見直され、現在では「自由な感動表現、動的で量感あふれる装飾形式」を特色とした芸術様式という侮蔑ではない評価に見直されています。

バロック時代の音楽は教会と貴族の為にあった

バロック時代は貴族が大きな力を持つ貴族社会の時代です。この時代の貴族は毎日のように宮殿にて祝典を開き、音楽を楽しんでいました。

所謂富裕層の嗜みというやつですね。

また、この時代の作曲家は貴族もしくは教会のミサの為に曲を書くのが当然です。各々の感性を生かした楽曲ではなく、クライアントの依頼に応えて曲を雇われ作曲家として活動をしていました。

バロック時代 作曲家

ちなみにバロック時代の作曲家は皆カツラを被っていますが、被っている理由はカツラを装着しないと正装と見なされなかったからです。

現代でいう営業がスーツを着るようなもので、貴族社会であったバロック時代では「カツラ」を被らなければ無礼者と見なされました。

バッハ・ヘンデル・ヴィヴァルディがカツラを被っているのはこのような理由があるからなのです。

声楽中心から器楽中心に

バロック時代に入る前の音楽は声楽が中心でした。
というのも、現在のオーケストラで使われている楽器は殆どまだ誕生しておらず、声楽しかできなかったのです。

声楽といえばミサ、ミサといえば教会音楽。というように、音楽はもっぱら教会の為に存在しているといっても過言ではありませんでした。

しかしバロック時代に入るとピアノの前身であるクラヴィコードやチェンバロが完成し、フルート・クラリネット・オーボエといったお馴染みの木管楽器も形こそ現在のモノとは異なれど誕生します。

クラヴィコード バッハ

また、イタリアからはストラディヴァリ・アマティ・ガルネリといった弦楽器製作者の偉人たちが現在のヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの仕様を確立させ、弦楽器サンサンブルの基盤が作られました。

ストラディヴァリ

歌だけが音楽ではなくなり、器楽曲の需要がどんどん高まったわけです。

バロック時代の音楽ジャンル

バロック時代は貴族と教会の為に音楽が作られた時代です。
音楽ジャンルに関しては以下の5つに分類されます。

オペラ

バロック時代で最も流行った音楽ジャンルが「オペラ」です。
器楽の伴奏による美しい声楽の数々。そして劇としてのストーリー性。
貴族の楽しみとしてはこれ以上のモノはなかったのではないでしょうか。

オペラ ヴィヴァルディ

この時代においてはヘンデルがオペラを得意とし、当時はバッハよりも遥かに高い人気を博していました。やはり人気ジャンルで結果を出すことはいつの時代においても重要というわけです。

カンタータ

所謂声楽曲です。ただ、ミサで使われる宗教的なモノではなく、「劇のないオペラ」といわれるようなポピュラーな声楽曲であることが特徴です。

オラトリオ

ヘンデルのハレルヤコーラスで有名なオラトリオ。
オラトリオとはキリスト教の物語を題材とする声楽曲です。宗教が絡むことに拠ってカンタータよりは厳かな雰囲気となります。
ソロ曲も多いですが、やはり有名どころは合唱曲ばかりです。

オラトリオ

受難曲

キリストの磔を題材としたオラトリオよりもさらに重い宗教曲です。最も有名な受難曲はバッハのマタイ受難曲でしょう。

器楽曲

楽器の急速な普及によって生まれた「歌を含まない」楽器だけで演奏される新しい音楽の形。それが器楽曲です。
チェンバロのみで演奏される曲。チェンバロ+フルートといった伴奏と旋律楽器の演奏。ヴァイオリン属による合奏といった様々な編成による曲が作られました。
チェンバロ系はバッハ。コーラス系はヘンデル。弦楽合奏はヴィヴァルディが有名です。

バロック音楽 器楽曲

バロック時代特有の音楽性

バロック時代の音楽の特徴は「対位法」と「通奏低音」です。

対位法について

現代の音楽は和声の進行によって曲が成り立っています。所謂ホモフォニーと呼ばれる音の仕組みであり、一番上にメロディーがあって、その下に和音が重なる音楽です。
最たる例はキーボードのコード弾きであり、左手でCのコード(ド・ミ・ソの和音)右手でメロディーといった感じ。

対してバロック時代の音楽は対位法が主流です。
ホモフォニーは同時に音が連なる垂直構造ですが、対位法音楽であるポリフォニーはメロディーがメロディーに次々と覆いかぶさってくる水平構造となっています。

小学校や中学校の時に歌った合唱曲でメロディーの少し後から入っているパートがありませんでしたか?
あれも一種の対位法であり、複数の旋律がそれぞれの独立性を保ちつつ互いによく調和しています。

合唱曲は和音があるホモフォニー音楽に一部ポリフォニー要素を含んだ音楽ですが、バロック時代の音楽は後追いパートの連続で構成されているポリフォニーのみで作られる曲も多く、特に宗教曲には度々このポリフォニー音楽が用いられました。

通奏低音について

通奏低音は低音部の旋律と番号のみが示された楽譜を見ながら、その低音に適切な和音を付けて演奏する伴奏形態です。現代でいうコードネームのようなもので、この音と番号が使われたらこの和音を付けるといった感じに演奏が進みました。

通奏低音

全てが楽譜に記される古典派以降のクラシックとは異なり、即興演奏の色合いが強めだったと思ってください。

また、低音旋律がアンサンブルの基準となっていた為、バロック音楽は他の時代の音楽よりも低音の存在感が強いです。

まとめ

バロック時代の音楽はキリスト教に基づいた宗教曲、もしくは貴族の為に作られた曲です。
この時代の曲を好きになれるかどうかは宗教曲に興味をもてるかどうかによって決まるといっても過言ではありません。

好き嫌いが分れる音楽性ですので、バロック時代の曲に興味がある方は聴いてみれば良いですし、興味がもてなそうであればスルーしてもOKです。
ただ、基礎的な音楽知識としてバロック音楽がどんなモノなのか知っておくのは決して無駄なことではありません。

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