スリランカの紅茶はセイロンティーとも呼ばれ、多種多様な紅茶が日々製造されています。
国内消費が盛んなインドとは異なり、スリランカの紅茶は8割以上が国外向けに生産されているのが特徴です。日本にも毎年7トン以上の茶葉が届き、私たちがよく口にする紅茶にも多く使用されています。
そこで今回はセイロン紅茶の特徴とその種類について掘り下げていきます。
紅茶の魅力はインド茶だけにあらず。
この機会に是非セイロン紅茶についての知識を深めていきましょう!
目次
スリランカについて
スリランカはインドの南に位置する小さな島国です。国土は日本の北海道ほどしかありませんが、紅茶の生産量はインド、ケニアに次ぐ世界3位。
インドと同じく紅茶の栽培に適した標高差が大きい土地を持つため、味わい深い紅茶の生産を可能としています。
国名はスリランカですが、紅茶に関しては旧国名である「セイロン」が使われることが多く、紅茶ファンの間ではスリランカの紅茶=セイロン紅茶として親しまれています。
寒暖差のある気候とモンスーンの影響によって独特の風味を纏ったセイロンティーは世界中から厚い支持を集めており、コアなファンの中には紅茶はセイロンしか飲まないという方もいるほど。
スリランカは決して存在感を持つ国とはいえませんが、紅茶に関しては世界トップクラスの影響力を持つ大国であるといえます。
セイロン紅茶の定番について
インドには3種類の定番紅茶(ダージリン)(アッサム)(ニルギリ)がありますが、スリランカにも有名な産地が5つ存在します。
栽培される茶葉は、香りから味わいまで何もかもが違い、例え同じ品種であっても収穫される時期によって大きく風味が異なります。
今回紹介するのはスリランカの5大産地と呼ばれる「ウバ」「ディンブラ」「ヌワラエリア」「キャンディ」「ルフナ」。
セイロンティーの魅力を知るには、まずセイロンの定番産地を学ぶことが必要不可欠です。
定番セイロンティー ウバ
「ウバ」は世界三大紅茶のひとつに数えられるセイロンティーの中で最も人気の高い紅茶です。
スリランカ南東部にあるウバの高地にて栽培され、寒暖差によって発生する霧の影響を受け、甘みと程よい刺激をもつウバ特有の味わいが生み出されます。
水色は赤みの濃いオレンジ色であり、インドのアッサム同様にコクが強いことが特徴です。
ただ、香気に優れるためストレートティーとしても飲むのもオススメ。
ミルクとの相性も抜群であるため、どなたでも扱いやすい紅茶といえます。
ウバのクオリティーシーズン
紅茶は収穫される時期により品質が大きく変わります。1年の中で最も良い品質の茶葉が取れる時期をクオリティシーズンと呼びますが、ウバに関しては7〜9月が品質のピークです。
インドのダージリンやアッサムは梅雨の時期にピークが来ますが、ウバに関しては夏がピークとなります。
また、ウバはスリランカの中央から南部へと広がる山岳地帯から東側に位置する斜面で栽培され、1200m以上の高地で作られる紅茶です。
この地域では南西モンスーンが7〜9月に吹き、乾いた風が茶葉に良い影響を与えるとされています。
そして、南西モンスーンの影響を受けた茶葉こそが独特の風味を持つウバ・クオリティーシーズン茶となるわけです。
定番セイロンティー ディンブラ
ディンブラは紅茶のオールラウンダーとして知られる優等生です。香りや味わいのバランスに優れ、ストレート・ミルク・レモン、どんな飲み方にも良くマッチします。
焼き菓子やスイーツとの相性も抜群であるため、ティータイムに適した紅茶だといえるでしょう。
水色はオレンジがかった鮮やかな紅色。紅茶らしい色味に程よいコクと渋み。
絶対的な個性は持ち合わせていませんが、セイロン紅茶のみならず、全ての紅茶の中でも抜群の安定感を持ち合わせます。
ディンブラのクオリティーシーズン
ディンブラの産地はスリランカ中部ヌワラエリヤ県ディンブラ地方。スリランカ山岳部の南西斜面(標高1200m)にて作られ、季節風によって花のような香りが付けられます。
クオリティシーズンは1〜2月。
この時期においては特にコクのある美味しい紅茶が収穫されます。
ただ、ディンブラは通年に渡って収穫が行われており、時期によって大きく品質が異なるということはありません。
安定した品質の紅茶が年中楽しめるため、初心者から上級者まで幅広く応用が利く紅茶です。
定番セイロンティー ヌワラエリア
優しい味わいが魅力のヌワラエリア。ウバの産地から山脈を跨いで西の位置で栽培され、緑茶に似た渋みを持つ繊細な紅茶として世代を問わず愛されています。
一見緑茶のようにも見えますが、香りはフローラルであり、味わいに関してはダージリンに近いです。
水色は薄いオレンジ色ですが、農園によっては緑色が強いヌワラエリアも見かけます。
飲み方のオススメは断然ストレート。
洋菓子よりも和菓子に合う紅茶といえるかもしれません。
ヌワラエリアのクオリティーシーズン
ヌワラエリアはイギリス人が避暑地として開発した街であり、涼しく過ごしやすい土地です。
標高1,800mのリゾート地であるため寒暖差は大きいですが、日中の気温は暑くても25℃程度であるため、気候は安定しています。
クオリティーシーズンは2、3月。
この時期のヌワラエリアは甘みが増し、味がさらに繊細なモノとなります。
定番セイロンティー キャンディ
スリランカで一番最初に作られた紅茶。それがキャンディです。
スコットランドからコーヒー園を開くためにやってきたジェームズ・テイラーは、この地でコーヒーの栽培を行いましたが、コーヒーの木に壊滅的なダメージを与える「さび病」が発生したことで上手くいきませんでした。
コーヒーが駄目なら紅茶はどうか?と植えたところ、コチラはすくすくと育ち、紅茶大国スリランカの誕生の礎を築きます。
キャンディは紅茶の中ではメジャーな存在とはいえません。香りが少ないため、紅茶上級者にとっては少し物足りない紅茶ともいえます。
しかしキャンディは渋みが少なく飲みやすい味わいを持つため、アレンジティーに向いています。
特にハーブやフルーツとの相性が良く、キャンディベースのフレーバーティーは女性人気が高いです。
キャンディのクオリティーシーズン
もともとコーヒー園向けに選ばれた土地であるため、キャンディは標高約500mのなだらかな場所で栽培されています。
インドのアッサムから取り寄せた木をベースに生産されていますが、高地で栽培されるアッサムとは環境が異なるため、味わいは全く異なります。
また、クオリティーシーズンに関してですが、特になしというのが現状です。
寒暖差が少ない低地で作られているため、品質が年間を通じて安定しています。
定番セイロンティー ルフナ
低地で栽培される紅茶はロー・グロウンと呼ばれますが、ルフナはそのロー・グロウンの中でも近年注目を浴びている産地です。
ルフナはコクが強く穀物のような香りが楽しめるのが最大の特徴。
水色は濃いオレンジ色で、濃厚な味わいが楽しめます。
ルフナは色味と香りが強い紅茶ではありますが、味わい自体はさほど癖がなく、意外と飲みやすいです。
渋みも少ないため、誰でも飲みやすい紅茶であるといえます。
飲み方に関してはストレートよりも、ハチミツを彷彿とさせる香りを生かしてミルクティーにするのがオススメです。
セイロンティーの中では価格も手ごろであるため、気軽に楽しめるのもルフナの良いところだと思います。
ルフナのクオリティーシーズン
ルフナは低地で栽培されている紅茶であるため、キャンディと同じくクオリティーシーズンはありません。
こちらも年中安定したクオリティーの紅茶が楽しめます。
総括
紅茶生産国として世界中から人気を集めているスリランカ。
紅茶の原産国といえばインドが連想されがちですが、スリランカのセイロンティーも大きな魅力に溢れています。
人気どころはウバ・ディンブラですが、どの紅茶を飲んでも豊かな風味と香りが楽しめます。
農園によっても異なる個性を楽しめるので、是非いろんなメーカーの茶葉を飲み比べてみてください。
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