DTMの敷居は上がった?それとも下がった?

DTM 敷居

ディスクトップミュージックの略であるDTM。
誰もが手軽に作曲を楽しめるようになった現代において、割とメジャーな言葉となりました。

確かに以前に比べDTMを始める敷居は低くなったと感じますが、果たしてそれは正しいのでしょうか?

今回はDTMの歴史を軽くおさらいしつつ、DTMの敷居について個人的な見解を述べます。

今と昔ではDTMを取り巻く環境は大きく変わっています。

1.もともとはマニア向けの存在であったDTM

コンピューターや電子楽器による作曲・演奏が始まったのは20世紀後半のことです。

YMOが流行った1980年代からシンセサイザーやシーケンサーが注目を浴び、1990年代になるころにはMIDIが普及。カラオケ音源を作るMIDI製作者の需要が増えたり、コンピューターミュージックによるゲーム音楽制作が流行りました。(ファミコンなど)

この時代はいわばMIDI音楽の全盛期であり、音質・音色の数は現在のDTMよりも遥かに劣っていながらも、製作者は工夫を凝らし音楽を創り上げていました。

MIDI シーケンサー

しかし、当時のMIDI機器はかなり理系なおしゃれさのカケラもないガチ機械であり、当然それを趣味にする方も機械オタクな方ばかり。(偏見入っています。すいません!)

ごく一部の趣味としては定着していましたが、市民権を得た趣味とは到底いえませんでした。

特に女性でコンピューターミュージックを始める方は限りなく少なく、機材も高価なモノが多かったため、敷居は非常に高いモノであったといえます。

2.ゲーム全盛期に需要が増したDTM

21世紀に入るとDTM機器は飛躍的に進化を遂げ、PCや音源の品質が上がると共に、作れる曲の幅は大きく広がりを見せます。初期はチープな8bit・16bit音楽しか作れませんでしたが、徐々にオーケストラサウンドまで再現できるようになり、ゲームが全盛期を迎えるころにはゲームミュージック製作の需要が急速に高まりました。

スーパーファミコン DTM

奏者を呼ばなくても、楽器を弾けなくても音楽を実用的な音楽を作れることは一昔前からすると夢のような話であり、DTMのプロを目指す方、趣味で作曲をする人は以前に比べ格段に増えました。

ただ、この時代であっても音質は生楽器には到底及ばず、そして歌モノではなく飽くまでも「インスト」を作るモノであったため、まだまだDTMはマイナーな趣味に甘んじていたと思います。

機材や音源も品質の割には高かったので、始める敷居は未だに高かったといえるでしょう。

始める敷居が高く、製作者も少なかった時代なので、プロとして食べていくには最も適していた時代だったかもしれません。音源のリアリティーも現在ほど求められていなかったので、作曲家になる敷居は一番低かった時代といえます。

3.ボーカロイドの普及によりDTMはメジャーな存在に

これまで一部のモノ好きが趣味としていたDTM。しかし、2004年に初音ミクが発売されるとボーカロイドが爆発的人気を博します。

自分で歌モノを作曲できるうえに可愛い!しかもカジュアルでオシャレ。

ちょうどニコニコ動画が全盛期を迎えたことも相まって、DTMは一気に趣味として一気に市民権を得ます。

初音ミク

それに伴い次から次へと新機材が発売され、作曲ソフトも扱いやすく高品質に。音源に至っては上手く扱えさえすれば生楽器を録音したかのようなリアリティーのある音に進化を遂げました。

また、このころからDTMer・DTM女子といった言葉も生まれ、根暗がイメージのあったDTMは一転華やかなイメージを持つ趣味となります。

ヘッドホン 女子

ピアノやヴァイオリンといったアコースティック楽器は女性の方が経験豊富。機材も扱いやすくなったことで、女性DTMerが頭角を表す事も増えました。

加えて「機材の価格」が下がったこともDTM人口が増えた要因でしょう。

一昔前は10万円以上が当たり前だった作曲ソフトも今やプロ仕様でも2万円台で買える時代です。

聴いてもらう為の敷居は高くなった!

誰もが気軽に始められるようになったDTM。その人気に伴い、素人の作曲レベルは格段に向上しました。

高価な音源をふんだんに使うのは勿論のこと、一部パートを生録音する人も増え、プロでもないのにオール生録音のハイクオリティー音質の曲を仕上げる人も多くなりました。

ボーカロイドであれ、インストであれ、オリジナルの歌モノであれ、最近の素人のレベルはもはや到底素人とはいえません。

プロとアマチュアの垣根がかなり薄くなっていると思います。

 

技術の進歩に伴いリスナーの耳も良い音質・音楽を聴くのが当たり前になってしまい、今となってはプロレベルの曲に仕上げなければ興味をもってもらえなくなりました。

確かに曲作りを始めるのは20・30年前と比べると簡単です。ツールも豊富なので、楽器の練習・理論の勉強を重ねればある程度の楽曲は作れるようになるでしょう。

しかしながら余りにもハイクオリティーなモノを作る人が多すぎて、現代のリスナーはしょぼい音楽には耳を傾けてくれません。

楽曲構成、音色、音圧、メロディーセンス。

すべてが備わっている曲ばかり聴いているので、少しでもしょぼいとダメなんです。

女性リスナー 音楽

結局のところ、作曲者の供給過多になってしまった現代においては、余程突出したものがなければ、いくら曲を作っても聴いてもらうことすら難しいです。

プロの音楽が無料で聴けてしまう時代なのですから、名もなき素人の曲を聴こうというモノ好きは残念ながら僅かでしょうね。。

結論

DTMの敷居は間違いなく下がりました。現在はマイナーなオタク趣味と思われることも少ないですし、いい機材や音源も安価で手に入れることができます。

ただ、曲を聴いてもらう敷居、評価される敷居はかなり上がっていると言わざるをえません。これだけ才能溢れるクリエーターが増えてしまったからには、明確な得意分野を伸ばし、自分だけの個性を作り上げなければ作曲家は埋もれてしまうでしょう。

オールラウンダーよりも特化型の方が注目されやすいかもしれませんね!

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