紅茶の産地として最も有名なインド。
インドの地形は高低差が大きく、産地の気候風土によって茶葉の特徴が大きく異なります。
原産国が同じであっても「斜面が急な険しい山岳」と「なだらかな丘陵」では茶葉の風味が全然違い、さらには同じ産地によっても風味や味わいは千差万別です。
そこで今回はインドが世界に誇るインド三大紅茶とその産地について掘り下げていきます。
紅茶についての知識を深めたい方は、まず茶葉から違いを学んでいきましょう!
目次
インド三大紅茶 ダージリン
紅茶のシャンパンと呼ばれ、世界中で愛されているダージリン。インド三大紅茶の一つとしても有名ですが、世界三大紅茶のひとつとして数えられます。
ダージリンの特徴はなんといっても「優れた香味」を持つこと。
上品で繊細な香りは他の紅茶とは一味も二味も違う魅力に溢れています。
ダージリンは本来緑茶に向いている「中国種」が茶樹の品種に使用されており、水色は赤みの薄いオレンジ色です。
爽やかな味わいを持つことも特徴といえます。
飲み方に関してはミルク入れず、ストレートで味わうのがベスト。
スイーツとも合わせやすいですが、紅茶単体でダージリンならではの風味をジックリ味わうのも良いでしょう。
ダージリン地方について
ダージリンが生産されているのは東ヒマラヤ山麓に位置するダージリン地方です。茶葉は2,000mの高地において栽培されており、かなり急な斜面に植えられています。
他の産地と大きく味が異なるのは「中国種」が使われていることは勿論のこと、標高2000mの険しい場所ならではの寒暖差にも秘密があります。
登山をしたことがある方なら分かると思いますが、標高が高い場所は寒暖差が大きく、加えて霧が発生しやすいです。
昼は暖かく、夜は寒い。
その寒暖差によって発生する霧が茶葉に強い影響を与え、深い味わいをもつダージリンが生まれます。
ダージリンのクオリティシーズン
紅茶の世界では1年間の間で最も品質に優れる時期をクオリティシーズンと呼びます。
大半の紅茶はピークが年間で1〜2回ほど来ますが、ダージリンは時期によって味わいが大きく変わるのが特徴です。
ファーストフラッシュ(1番摘み)
3〜4月に収穫される茶葉。浅緑な見た目をしており、水色は淡いオレンジ色をしています。収穫量が少ないため、他の時期と比較するとやや高価です。
セカンドフラッシュ(2番摘み)
ダージリンのピークに当たるセカンドフラッシュ。新芽から少し時間がたった時期で、茶葉は茶褐色となります。
5〜6月に収穫され、香りも味わいも最高品質です。
水色はファーストフラッシュよりも濃く、通称「マスカット・フレーバー」と呼ばれるほど上品な香りがします。
最上級であるため高価にはなりますが、ダージリンの真の良さを味わうのであれば、一度は飲んでみたいところ。
オータムナル(秋摘み)
ピークからはズレますが、味わいに渋みが増す10〜11月の時期も人気があります。
ダージリンらしいオレンジ色というよりかは赤よりの水色となり、本来は向かないミルクティーにも合います。
価格も手ごろなので、日常的に使用するのも良いでしょう。
インド三大紅茶 アッサム
アッサムは全ての紅茶の1/4を占める定番茶葉です。ダージリンとは異なり、広大な平野にて栽培されています。
茶樹の品種は酸化酵素の活性が非常に強く発酵しやすい「アッサム種」。味わいに関しては渋みとコクがあります。
上品で爽やかなダージリンと比較すると存在感が強い茶葉ですが、ミルクとの相性が非常によく、インドではチャイにして飲むことが多いです。
濃いスイーツとの相性が良く、チーズケーキやフィナンシェ、マカロンなどと一緒に飲むとアッサムの良さを存分に味わうことができます。
日本ではミルクティーとして飲まれる方が多く、私もアッサムを飲む場合はスイーツと合わせる時以外はもっぱらミルクを入れています。
マイルドでクセのない味、それでいてコクがある。
誰からも愛される定番の茶葉だといえます。
アッサム地方について
アッサムの生産地はインド北東部にあるアッサム州。スルマ河渓谷とブラマプトラ河流域の渓谷に囲まれた平原地帯が主な生産地です。
広大な平野であることがこの地の特徴ですが、東南アジアならではの高温多湿、さらにはモンスーンの影響を受けることで独特な風味をもつアッサムが生まれます。
インドから生産される茶葉の半分以上がアッサム地方で作られており、世界最大の紅茶産地といえるでしょう。
なお、アッサム茶葉の形状はリーフタイプではなく粒状に砕いたCTC製法のモノが殆どです。
CTCはCrush(押しつぶす)Tear(引きちぎる)Curl(丸める)の頭文字を取った製法のことを指し、その他の通りの工程を経て、下記の写真のような形状に加工されます。
CTC加工された茶葉は短時間でしっかりとした味わいの紅茶を抽出することが可能です。
忙しい現代人にとって飲みやすいため、ティーバックにも数多く採用されています。
アッサムのクオリティシーズン
アッサムのクオリティシーズンはダージリンに近く、春から梅雨にかけてピークが来ます。
ファーストフラッシュは3月〜4月、セカンドフラッシュは4月〜6月。
ピークはセカンドフラッシュで、アッサムの濃厚な味わいが更に深みを増します。
ミルクティーにすることでその魅力は引き立つので、是非お試しください。
ちなみにファーストフラッシュに関しては、濃厚でありながらも爽やかな味わいとなっているため、ストレートにも適しています。
インド三大紅茶 ニルギリ
ダージリン・アッサムはインド東部で生産されていますが、インド第3の茶葉であるニルギリに関しては、インド洋の西ガーツ山脈の南部ニルギリ丘陵で栽培されています。
ニルギリ丘陵は寒暖差こそ大きい土地ですが、斜面はなだらかです。そのため、出来上がる茶葉に関しても良い意味でクセがありません。
香り・味わいのバランスが良く、どんな飲み方にも適している万能型の茶葉として知られています。
ニルギリは主張が薄いため、アレンジティーとしても良く使われます。
フレーバーティーとしても使われることが多く、ダージリンやアッサムに比べ応用の効く茶葉であるといえるでしょう。
また、ニルギリは酸味の強い食べ物と相性がよく、レモンティーにも適しています。
スイーツではタルトやケーキと一緒と組み合わせるのも定番です。
ニルギリ地方について
ニルギリ地方は高原地帯に囲まれたインド有数の避暑地として知られる土地です。
現地の言葉では「青い山」という意味を持ち、美しい自然環境の中で茶葉が栽培されています。
茶葉は年間を通じて収穫され、最も品質が良い紅茶ができるのは「1〜2月」。この時期はがニルギリのクオリティーシーズンとなり、香り高い紅茶ができます。
ちなみにニルギリ地方は緯度がスリランカと殆ど同じ上に気候が似ているため、紅茶の香りや味わいはスリランカ産の紅茶に近いです。
農園によって風味や味わいに個性があることもニルギリの特徴なので、是非様々なニルギリを試してみたいところ。
最後に
「ダージリン」「アッサム」「ニルギリ」。これらの紅茶はインド三大紅茶と呼ばれ、それぞれの産地によって特徴が全く異なります。
例え同じ産地であっても農園やブランドによって香りや味わいは千差万別であり、実に奥が深いです。
自分がどの紅茶が好きなのか、どの紅茶が苦手なのかを知ることから紅茶ライフは始まっていくと思うので、紅茶をこれから勉強していきたいという方は、是非ともインド三大産地の紅茶を一度飲んでみてください。
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