機械式時計とクォーツ時計の動く仕組み

腕時計には大きくわけて2種類のタイプが存在します。1つはおなじみの電池で動くクォーツ時計。もう1つは時計好きでなければ馴染みが少ない機械式腕時計です。一見どちらも同じように見えますが中身は全然違う作りとなっていて、それぞれに異なる特徴をもちます。

今回はこの2つの時計の仕組みを覚えてみよう!という内容のお話です。

機械式時計ってどんな風に動いているの?

機械式時計

1.リューズを巻いてゼンマイにエネルギーを蓄える

機械式時計のゼンマイは香箱と呼ばれる丸い箱にゼンマイが収納されており、3時位置にあるリューズを巻くことでゼンマイが巻かれます。そして、巻かれたゼンマイはゼンマイ式のおもちゃのように「元に戻ろうとするエネルギー」を放ち、そのエネルギーが機械式時計の動力となります。

2.ゼンマイのエネルギーは輪列機構を通る

機械式時計は細く長い帯状の金属製ばね”ぜんまい”を巻き上げることでエネルギーを蓄え、ぜんまいが元の形状に戻ろうとするエネルギーを動力として動く時計のことです。そして、そのエネルギーはいくつかの歯車(輪列機構)を通り、機械式時計の心臓部である調速機構に達します。

機械式時計 しくみ

時計のリューズを巻きゼンマイがほどかれると、ゼンマイが収納されている1番車(1香箱)から2番車、3番車、4番車へと力が伝えられていき、「がんぎ車・てんぷ・アンクル」で構成される脱進機へとエネルギーが進みます。

そして、各歯車は脱進機によって一定のスピードで動くように調整され、2番車に取り付けられた分針・4番車に取り付けられた秒針が正確な時間を刻みます。

また、機械式時計は大きく分けると手巻き式・自動巻きの2種類が存在しますが、基本的にはどちらもこのような仕組みです。自動巻きにはローターと呼ばれるゼンマイを自動で巻き上げる機構がつけられているため、身につけて生活するだけでゼンマイが巻かれます。ただし、ローターがムーブメントにつく分、時計の厚みが増えることが難点です。

3.脱進機によって回転数が調整される

機械式時計は「がんぎ車・てんぷ・アンクル」で構成される脱進機によってゼンマイから送られたエネルギーが一定の速度に変換されます。脱進機では歯車の回転運動をアンクルの往復運動に変え、機械式時計の心臓部であるテンプ及びひげゼンマイに伝達させます。ちなみにテンプ、ひげゼンマイのことを調速機構というので、こちらも覚えてみてください。

機械式時計 テンプ

出展:https://www.rolex.com/

テンプにはひげゼンマイという高度な技術でつくられたパーツが収納されていて、伸縮を繰り返すことでテンプを往復運動をさせます。そしてこの左右に動くエネルギーはアンクルと呼ばれるパーツを左右に動かし、輪列機構の最後にあるがんぎ車を一定のスピードで抑えます。この一定のスピードこそ24時間で1周する秘訣なんです。

脱進機によって調整された歯車は時計の中心に位置する2番車を60分で1回転させます。2番車には「分針」が取り付けられており、その同軸には「筒車」と呼ばれるパイプ状の歯車を挟んで時針も取り付けられています。筒車は時針を12時間で1周させる設計となっているため、2番車によって時計の時間は表示されるということになります。

なお、秒針は4番車が担当し、この歯車は60秒で1周する設計です。

4.機械式時計用語:日差/月差/年差とは?

機械式時計には日差/月差/年差という単語があります。これは時間がどれだけズレるかを表しており、日差は1日にどれだけズレるか、月差は月にどれだけズレるか、年差は年にどれだけズレるかを表します。基本的に機械式時計は電池で動くクォーツ時計よりも精度が劣るため、多くのモデルは日差表記です。

5.機械式時計用語:振動数とは?

機械式ムーブメントには振動数というスペックパラメータがあります。これは心臓部であるテンプがどれだけ動くかを表しており、テンプが1往復=2振動とし、振動数が多いほど精度が高くなります。しかし、振動数が多いモデルは精度と引き換えにパーツの磨耗が激しくなるというデメリットもあります。

なので、理想は低振動数で精度が高い時計です。

【主な振動数】

・1秒/5振動  1時間 14,400振動

・1秒/6振動  1時間 21,600振動

・1秒/8振動  1時間 28,800振動 (現在の主流)

・1秒/10振動  1時間 36,000振動

 

クォーツ時計の動く仕組み

クオーツ時計

クォーツ時計は機械で動く機械式時計とは異なり、電池の力で動くムーブメントです。ムーブメントの中には「水晶振動子」があり、この水晶振動子が1秒間に32,768Hzの信号を発生させることによって歯車を動かします。機械式よりも精度が高く、オーバーホール代もかからないので、現代では大半の方がクオーツ時計を選ぶのではないでしょうか?

電池がゼンマイの代わり

機械式時計はゼンマイの力で動きますが、クォーツは電池を動力とします。ですので、電池はゼンマイの代わりだといえるでしょう。

また、クォーツムーブメントは電池を入れると電子回路が起動し、「発振回路」「分周回路」「駆動回路」の回路を通って最終的に機械を一定のスピードで動かすエネルギーへと変換させます。

「発振回路」・・・振動を発振させる回路です。電池を入れることで蓄えられたエネルギーを32,768Hzの信号として発振させます。

「分周回路」・・・1秒間に32,768Hzしてしまうクォーツの信号を少ない振動数の信号に変換します。

「駆動回路」・・・分周回路から伝えられた信号を次項で説明するステップモーターを動かす信号に変換する回路です。

ステップモータがエネルギーを制御する

クォーツムーブメントにはステップモーターという機構が備えられており、これは機械式時計の「アンクル・がんぎ車」にあたります。ステップモーターの役割は時計に蓄えられた電気エネルギーを機械を動かすエネルギーに変換ことです。

電子回路で時計が動いたとしても針を動かすのは「アナログなエネルギー」となるため、電気機械変換装置ともいえるステップモーターが必要になります。そのため、電子回路から送られてきた電子エネルギーを歯車を回すためのエネルギーにステップモーターが変換するわけです。

ただ、全てデジタルで作られたデジタル時計はこれに当てはまりません。

水晶振動子が時計のエネルギーを調整

機械式時計ではテンプとひげゼンマイが針の動かすスピードを決めていましたが、クォーツ時計ではこの役割を水晶振動子が担います。「水晶振動子」は1秒間に32,768Hzの信号を発生させ、時計のエネルギーを調整します。

そして調整されたエネルギーは機械式時計と同じく輪列機構へと渡され、2番車が分針・時針を、4番車が秒針を回し、時計の時間を刻むのです。

また、クォーツ時計は機械式時計とは違い、1秒ごとにカチカチと針が進むステップ運針が採用されています。これは常にスムーズに進む機械式時計の方式では消費電力が多かったからです。

まとめ

機械式時計とクォーツ時計のメリット・デメリットをまとめると下記のようになります。

機械式時計のメリット:構造が面白く、ムーブメントを楽しむことができる。また、部品の修理も可能なので、古いものでも修理可能。価値もクォーツ時計よりも高い。

機械式時計のデメリット:クォーツ時計と比べると精度が悪く、ゼンマイを巻かないと止まる。また、3年〜5年に一度はオーバーホールが必要。

クォーツ時計のメリット:精度がとにかく高く、基本的に誤差は月差。価格も安く、オーバーホールをする必要もない。

クォーツ時計のデメリット:電池交換が必要。低価格商品が多いため、安物というイメージもある。

 

機械式時計は現在では趣味の世界のものとなっています。ただ、機械式時計は身につけてみないとわからない「良さ」があり、一回機械式時計を使うとクォーツ時計には戻れなくなることもしばしばあります。(私もそうです。。)

精度も劣るし、手間もかかりますが、それがまた面白くなってくるわけです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。