おしゃれな街並みに可愛らしいお店、幻想的な森や洞窟。ゲーム好きであれば一度は自分の足で御伽話の世界を旅してみたいと思ったことがあるはずです。
しかし、その理想に合う場所はヨーロッパを中心とする海外がほとんど。日本に住んでいるとなかなかその願いは叶いません。
そこでこの記事では旅好きなヴァイオリン製作家が実際に訪れた日本にある異世界のような観光スポットを写真付きで紹介します。時間とお金をかけて海外に行かなくても、ゲームの世界を体験できる場所は意外とたくさんあります!
異世界のような観光スポット -街/村編-
ゲームの世界では物語を進めていく中で様々な街を訪れることになります。イタリア風だったり、イギリス風だったり、アメリカ風だったり。ゲーム好きであれば、一つや二つ自分が理想とする街があるはずです。
まずは「街」の雰囲気を感じることができるスポットを紹介して行きます。
山梨県 河口湖音楽と森の美術館
音楽と森の美術館は河口湖の畔にある中欧をイメージした美術館です。建物の綺麗さは勿論のこと、空の青さや澄んだ空気、美しい庭園を楽しむことができます。
晴れた日に訪れると日本とは思えない異世界の雰囲気を味わうことができます。
おしゃれなカフェで食事をとりながら聞く生演奏は最高です。
貴重な自動演奏楽器やディスクオルゴールが数多く展示されているため、音楽&ゲーム好きにとってはこれ以上ない観光スポットに思えます。
都内からのアクセスも良いため、デートにもうってつけです!
神奈川県 ガラスの森美術館
ガラスの森美術館は箱根仙石原にある日本初のヴェネチアン・グラス専門の美術館です。
全体的な雰囲気は河口湖音楽と森の美術館と似ていますが、こちらはイタリアやフランスの田舎街を連想させます。
晴れた日に訪れるのも素敵ですが、ガラスをテーマにしていることから雨の日の雰囲気も素敵です。
「霧の街」といったファンタジーな世界観を楽しめます。
展示物は15世紀ごろに作られたアンティーク品から現在活躍中のガラス作家による作品まで多種多様。繊細な技巧作品や斬新なアート作品を眺めることができます。
レストランでは生演奏を聴くこともでき、優雅な一日を過ごすことができます。
山梨県 ハイジの村
知名度こそ高くありませんが、山梨県にあるハイジの村はファンタジーな観光スポットとして人気があります。
こちらはアルプスの少女ハイジの世界観をテーマとしていることから、雰囲気はスイス風ですね。
山奥しかも高地にあることから空気が澄んでいて、RPGで表現すると序盤に訪れる田舎町といったところでしょうか。アクセスは正直よくありませんが、ゲーム好きであれば訪れて損はない場所だと思います。
長崎県 ハウステンボス
ヨーロッパの世界観をテーマとした施設としては最も知名度が高いであろう「ハウステンボス」。東京ドームの33倍の広さを誇り、ゲームで言えば首都国家のイメージにピッタリです。
17世紀のオランダの街並みをモチーフとしていることから風車が至る所に用いられており、牧歌的な雰囲気を楽しむことができます。
シンボルであるタワーシティを中心に、宮殿や城、港など、ハウステンボスにはファンタジーな観光スポットが無数に存在します。子供向けのアトラクションが少し世界観を損なっている気がしますが、過ごし方次第でゲームの住民になった気分を味わえます。
アクセスに関しては九州の端にあることから良いとは言えません。ただ、LCCや特急を使うことで、意外とリーズナブルに旅行することができます。
静岡県 ぬくもりの森
ぬくもりの森は近年注目されている可愛らしい観光スポットです。
浜名湖のすぐ近くにあり、森の中の小さな村のような雰囲気を楽しめます。
音楽と森の美術館やガラスの森美術館などは現実にある建物をモチーフとしていますが、ぬくもりの森は御伽話の中にいるようなデフォルメタッチの建物が並びます。
丸みのある建物はとてもメルヘンであり、歩いているだけで気分はまさにゲームの主人公!
特にゼルダやスクエニ作品が好きな人であれば、素敵な時間が過ごせると思います。
千葉県 ふなばしアンデルセン公園
ふなばしアンデルセン公園は童話作家のアンデルセンが生まれたオーデン市と姉妹都市提携している船橋市が運営する異国情緒溢れる公園です。敷地面積約36.7ヘクタールと敷地が広く、園内は「ワンパク王国」「メルヘンの丘」「子ども美術館」「花の城」「自然体験」に分かれています。
アンデルセン公園で注目したいのは「メルヘンの丘」です。こちらはデンマークの世界を再現した雰囲気抜群のスポットになります。大きな風車や1800年当時の農家の家などが再現されており、ゲームで立ち寄ることになる「可愛らしい農村」の雰囲気が味わえます。
都内近郊からのアクセスが非常に良く、県営であることから非常に安価に遊べるのは嬉しいポイント。気軽に異世界情緒を楽しみたい方は、ぜひ一度訪れてみてください。
長野県 軽井沢町
日本有数の避暑地 軽井沢。イギリスの湖水地方やスコットランドのハイランドのような雰囲気があり、外国の空気感がそこかしこに漂っています。街自体が異国情緒溢れる場所としては軽井沢が国内最強であり、おしゃれなペンションに泊まったり、素敵なお店でお茶をするだけでお伽話の世界に浸れます。
軽井沢にて是非訪れていただきたいのが「cafe 涼の音」です。
cafe 涼の音は旧軽井沢から少し外れたところにある登録有形文化財のカフェです。木漏れ陽が降り注ぐ優雅な時間を過ごすことができます。軽井沢にはおしゃれなカフェがたくさんありますが、cafe 涼の音のファンタジー感は頭ひとつ抜けている印象を受けます。
テーマパークやミュージアム以外で洋風な世界観を堪能できる軽井沢は国内において非常に貴重な場所です。首都圏からのアクセスもよく、私自身もよくこの地を訪れています。
異世界のような観光スポット -洋館編-
物語の途中で訪れることになる洋館。どこかミステリアスな雰囲気があり、可愛らしい街や村とは違う魅力を味わうことができます。テーマパークではないため長時間の滞在には向きませんが、メイン観光のついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
神奈川県 鎌倉文学館
鎌倉ゆかりの文学者の直筆原稿や手紙、愛用品などが保管されている鎌倉文学館。展示内容が日本文学であるため興味が分かれるスポットではありますが、入り口のトンネルは異世界満載です。大正レトロを彷彿させる情緒のある外観も素敵で、至る所にアールデコ様式のデザインが組み込まれています。
庭園では200種230株の薔薇が植えられており、5月中旬〜6月下旬と10月中旬〜11月下旬の2回に分けて見頃となります。紫陽花の季節と重なるため、お寺めぐりに合わせて鎌倉文学館を訪れるのも良いですね。
長野県 軽井沢タリアセン
自然とアート・歴史が融合した観光スポット 軽井沢タリアセン。塩沢湖畔に建つ「睡鳩荘」はまさに絵に描いたような湖に佇む洋館です。フランス文学者、朝吹登水子が別荘として使用していた建物であり、昭和6年にアメリカ人ヴォーリズの設計により建てられました。落ち着いた雰囲気があり、ゲーム中盤に訪れる癒しスポットのような印象を受けます。
軽井沢 絵本の森美術館
軽井沢タリアセンのすぐ近くにあるムーゼの森。こちらは軽井沢絵本の森美術館、エルツおもちゃ博物館の二つの施設からなるミュージアムパークです。どちらも素敵な施設ではありますが、特に絵本の森美術館は心地よい静けさを感じることができます。
離れにある絵本図書館では洋書を中心とした1,800冊を超える絵本が閲覧できます。円形型の建物も美しく、魔法学習者になった気分を味わえます。一人の空間を味わいたいところなので、訪れるなら平日がおすすめです!
静岡県 伊豆 川奈ステンドグラス美術館
日本最大級の規模を誇るアンティークステンドグラス美術館として知られる同施設は英国貴族のマナーハウスをモチーフとした異国の雰囲気を感じることができるスポットです。館内は残念ながら撮影禁止ですが、豪華絢爛なステンドグラスやアンティークオルゴール/パイプオルガンの美しい音色を聴くことができます。
ステンドグラスは小物もおしゃれですが、やはり礼拝堂にある厳かな大型パネルに魅力を感じてしまいます。礼拝堂で奏でられるパイプオルガンを聴きながら作品を鑑賞していると、どこか神聖な気持ちになれる気がします。
駅から遠くバスの本数も少ないため、車以外で訪れる方は滞在時間に注意してください。
異世界のような観光スポット -自然/ダンジョン編-
ゲームの世界において欠かせないのが自然やダンジョンの存在。美しい街並みや店、洋館とはまた違った魅力があります。
日本国内にも幻想的な雰囲気を感じることができるスポットが数多くありますが、山奥にあったり、天候に恵まれないと見れなかったりと、理想通りの景色を見ることは難しいです。
高知県 にこ淵 / 安居渓谷
豊かな自然と美味しい食事が楽しめる高知県。四国において私が最も気に入っている県でもあります。
そんな高知県の観光スポットといえば、なんといってもエメラルドグリーンにもターコイズブルーにも見える独特の青「仁淀ブルー」。限られた時間だけ見ることができる宝石のように美しいブルーはまさにゲームの世界です。
仁淀ブルーが見れる主なスポットは「にこ淵」「安居渓谷」「中津渓谷」。いずれも辺境の地にありますが、どこを訪れても幻想的な景色が味わえます。特に安居渓谷にある「水晶淵」と正午から13時頃のみ神秘的なブルーが見れる「にこ淵」の美しさは国内屈指です。
神奈川県 江ノ島
江ノ島はおしゃれな場所というイメージを持っている方も多いですが、実際訪れてみると温室遺構地下室があったり、植物園があったり、洞窟があったりとダンジョンのような雰囲気を持ってます。
最も奥地にある洞窟「岩屋洞窟」の最深部にはドラゴンが潜んでおり、岩屋内にはトライフォースの紋章(北条家の家紋)が吊るされています。
長野県 上高地
北アルプスの雄大で臨場感あふれる景観を楽しめる上高地は日本有数の山岳観光地として人気です。鏡面のような水面が美しい「大正池」や上高地のシンボル「河童橋」といった有名スポットが存在します。
ベストシーズンは年に数回ありますが、個人的なおすすめは新緑の美しい5月下旬~6月上旬。次の街へ向かうために美しい山岳エリアを冒険している気分になれます。
上高地に行くならバスツアーがおすすめです。交通機関のアクセスがすこぶる悪く、自家用車で行った場合もマイカー規制があったりとスムーズに乗り入れができません。岐阜白川郷とのパッケージツアーが各社から出ていますので、こちらを利用した方が費用も安いのかなと感じます。
山梨県 鳴沢氷穴
青木ヶ原樹海の東の入口に位置する鳴沢氷穴は樹海の入り口にぽっかり空いた洞窟という、まさに異世界ダンジョンの雰囲気を纏う観光スポットです。「天然の冷蔵庫」と呼ばれているだけあり、内部は氷柱が幻想的な氷の世界となっています。
日本の洞窟・鍾乳洞としては比較的アクセスがよく、富士五湖観光の一つとして立ち寄られる方が多いです。
鳴沢氷穴は竪穴型洞窟であることから、樹海を下から覗くことができます。快晴の時も素敵だと思いますが、霧がかかった雨の日もまた素敵です。洞窟内は真夏でも0℃~3℃となるので、防寒対策はしっかりしておきましょう!
栃木県 中禅寺湖
日本には各地に湖がありますが、異世界の雰囲気を強く感じたいのであれば中禅寺湖はおすすめです!狙い目なのは雨上がりの直後に発生した霧の時間帯。中禅寺湖は日本一標高が高い天然湖であるため、条件によっては一面霧に包まれた幻想世界が味わえます。
私が訪れた時はたまたま雨あがりだったこともあり、湖全体が霧で隠れていました。もちろん人が全くいないため、異世界に迷い込んだのかと本気で思いました。
快晴の湖も好きですが、霧の中禅寺湖以上に印象に残っている湖はありません。ファンタジーの世界観に浸りたいのであれば、敢えて雨の日を狙って旅行に行くのもアリです。
新潟県 清津峡
日本三大峡谷の一つとして知られる清津峡は荒々しい岩壁と清津川の急流が美しい大峡谷です。フォトスポットとして有名な「清津峡渓谷トンネル」には3ケ所の見晴所とパノラマステーションがあります。最深部のパノラマステーションには床に水が張られており、水鏡で反転させた幻想的なアート写真を撮ることができます。
清津峡=アート写真撮影場所のような雰囲気があるため、正直ゆっくり雰囲気を味わう場所とは言えません。ただ、ロケーションの素晴らしさは目を見張るものがあります。
人物がいる方が映える写真となるため、一人旅ではなく複数人での観光がおすすめです。
埼玉県 ムーミンバレーパーク・メッツァビレッジ
宮沢湖の湖畔にあるムーミンバレーパークとメッツァビレッジは北欧をテーマとする自然に恵まれた複合施設です。キャラクター特化のテーマパークに思えますが、メッツァビレッジだけの利用であれば実は無料であり、北欧時間が流れる森と湖での非日常を味わうことができます。
冬季になるとイルミネーションが設置され、通常時とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。森と湖がライトアップされた世界観はまさに異世界そのもの。RPGではお決まりのステージである「迷いの森」を連想させます。
埼玉県にあることから比較的アクセス良好ですが、バスツアーも安価かつ楽なのでおすすめです。もし近くに住んでいたら頻繁に訪れたくなってしまいます。
異世界のような観光スポット -城・宮殿/教会編-
最後に紹介するのはゲームの世界観に欠かせない存在である「城」と「教会」です。日本において西洋の城や宮殿を見ることができる施設は限られているため、これらの観光スポットはとても貴重な場所となります。
群馬県 ロックハート城
英国スコットランドより移築・復元されたロックハート城は作り物ではない本物のお城です。イギリスの古城だけあり、アンティークな意匠が至るところに見え隠れします。ディズニーランドやUSJなど、西洋風の城を模した建物はテーマパークを中心に幾つか存在しますが、本物を味わえるのはロックハート城だけ。お城以外にも教会やヨーロッパの町並みを再現したショップなどもあり、規模こそ大きくありませんが異世界の雰囲気を存分に味わえます。
日本で建築された西洋を模したスポットはイギリスをルーツとするものが多いです。無意識のうちに馴染みがあるからこそ、英国らしい雰囲気に魅力を感じるのかもしれません。
長野県 軽井沢高原教会/石の教会
澄みきった空気と美しい自然に包まれた軽井沢高原教会は大正10年に開かれた厳かな教会です。外観だけでなく礼拝堂内もロマンティックな雰囲気に溢れ、木の温もりとやわらかな光が広がります。
挙式で使われることも多く、国内の教会においてはトップクラスの知名度を誇ります。
なお、軽井沢高原教会のすぐ近くには「石の教会 内村鑑三記念堂」があり、こちらでは石とガラスが織り成す神秘的な世界に足を踏み入れることができます。繊細な水の音と温もりある木漏れ日。礼拝堂内は撮影禁止ですが、とても趣きがあって素敵です。
本場ではなく日本だからこその魅力がある
ゲームのような世界観に憧れてヨーロッパを旅してみるのも素敵ですが、国内でも十分にその願望は果たせます。
旅費の高さ、言葉の問題、食事の不安、慣れない場所での疲れ。海外旅行は異国ならではの楽しさがありますが、それと同時にデメリットも少なくありません。
国内においては治安や衛生面も安心ですし、どの場所も日本人ならではの感性にあった観光スポットになっています。
ゲーム好きや可愛いモノ、おしゃれなモノが好きな人ほど、実は国内スポットの方が楽しいのかもしれません。