
最近X(Twitter)の動画投稿機能で演奏を公開している方が増えています。
YouTubeに投稿した動画もURLリンク経由ならX(Twitter)に投稿することも可能ですが、直接アップロードの方が利便的ですし、再生回数も伸びます。
しかし、X(Twitter)の動画投稿機能を使って演奏動画を公開する際には「著作権」に気をつけなければなりません。
なぜならJASRACと包括契約を結んでいないX(Twitter)では、JASRAC管理楽曲を演奏することが著作権違反に該当するからです。
今回はTwitterと著作権について最低限知っておきたいことを解説します。
TwitterでJASRAC管理楽曲を演奏するのは著作権違反
X(Twitter)に直接動画を公開するメリットはなんといってもその手軽さです。
一昔前のX(Twitter)には動画機能がなかっため、動画を投稿するにはyoutubeやvineといった動画共有サービスにアップロードされた動画URLを投稿に貼り付けることしかできませんでした。
しかし、2016年6月21日(米国時間)からTwitterでの140秒動画のアップロードが利用可能になり、X(Twitter)の機能だけで動画投稿が可能になりました。
外部リンクを辿ることなく再生ボタンをクリックするだけで動画が視聴できる手軽さから、X(Twitter)動画機能はたちまち人気になり、演奏動画とも相性が良いことから、演奏動画をアップロードする楽器奏者は増加傾向にあります。

X(Twitter)の動画投稿機能は再生回数が伸びやすいことも魅力的です。
X(Twitter)からyoutubeへのリンクを貼る方法も定番ですが、こちらはリンク先に飛ばないといけないというめんどくささがあり、広告が表示される煩わしさも相まってか、思ったよりも再生回数が伸びません。(あくまでX→youtubeの遷移で考えると)
その点X(Twitter)の動画投稿機能はシンプルにクリックするだけで動画を視聴できるため、再生回数が伸びる傾向にあります。
140秒という動画の時間制限はありますが、フォロワーに演奏を聴いてもらえる機会はyoutubeへのリンクを掲載するよりも格段に多いです。
こういった理由からX(Twitter)の動画投稿機能を使って演奏をアップロードする方が増えているわけですが、同時に著作権違反をしている方も増えています。
と、いうのもTwitterはJASRACと包括契約を結んでいないからです。
TwitterはJASRACと包括契約を締結していない
手軽に動画を公開できることから、演奏動画をアップロードする方が増えている昨今。何も気にせずに好きな曲を弾いて、X(Twitter)に投稿している人が非常に多いです。
しかしながら、X(Twitter)はyoutubeやニコニコ動画とは異なり、JASRAC管理楽曲を利用できる包括契約を締結していません。
そのためクラシック音楽など、著作権が切れた楽曲でもない限り、大半の曲が著作権違反の対象となります。
JASRACとの包括契約について
JASRACは楽曲をデータベース化して管理し、著作権の手続きを行う団体です。
包括契約は複数となる契約を一つにまとめて一括契約することをさし、JASRACにおいては企業とJASRACが包括契約を行うことで、特定サービスにおいてJASRAC管理楽曲の使用が可能となります。
youtubeでJASRAC管理楽曲を演奏してもお咎めなしなのは、youtubeがJASRACが包括契約を結んでいるからであり、本来私たちがJASRACに支払わなければならない楽曲使用料を肩代わりしてくれているからです。

youtubeの場合はJASRACと包括契約を締結しているので、JASRAC管理楽曲であればカバー楽曲をアップロードすることが可能です。
有名なポップスやジブリや映画音楽、あらゆる音楽の演奏動画を投稿することが許されています。
ですが、X(Twitter)の場合はそうはいきません。
先程触れました通り、X(Twitter)はJASRACと包括契約を結んでいないため、JASRAC管理楽曲の投稿は全てNGです。
JASRAC管理楽曲以外の曲も原則的に著作者の許可が必要なので、自分のオリジナルや著作権切れ楽曲以外は投稿NGだと思った方が良いでしょう。
【OK】 youtubeに投稿された演奏動画のURLをTwitterに貼る
【NG】 Twitterの動画投稿機能を使って演奏動画をアップロード
X(Twitter)のタイムライン上に流れてくる演奏動画は主に上記2パターンです。
視覚的には同じように見えますが、X(Twitter)の動画投稿機能を使ってJASRAC管理楽曲を演奏するのは著作権違反となります。
YoutubeだけでなくツイキャスやTikTokもカバー楽曲アップロードOKなのでX(Twitter)もOKに思えてしまいますが、今のところは許されていません。
当然個人ブログへのアップロードも不可なので、こちらも合わせて注意してください。
人気演奏家は個人契約を結んでいる
権利侵害せずにX(Twitter)でJASRAC曲をアップする方法として、個人でJASRACと契約を結ぶ方法があります。
JASRACにインタラクティブ配信使用料規程に沿った著作物の使用料を支払えば、X(Twitter)の動画機能でもJASRAC管理楽曲を公開することができます。
契約はアカウントごとで行われ、費用はケースバイケースですが、下記の通りです。
ダウンロード形式: 10曲まで / 50,000円 以後10曲まで毎に加算する額 / 50,000円
高額ではありますが、払えない額ではありません。
知名度のあるアーティストであれば、個人契約を結ぶメリットは大きいと思います。

有名アーティストがX(Twitter)の動画投稿を使ってカバー曲を演奏しているのは「個人契約」を結んでいるからです。
著作権違反をしているわけではありませんので、そこは勘違いしないようにしましょう。
もちろん、個人契約を結ばずにカバー楽曲をアップロードするのは違法になってしまいますので、どうしてもX(Twitter)にJASRAC管理楽曲を投稿したい人は個人契約を検討してください。
X(Twitter)がJASRACと契約するとどうなるのか?
X(Twitter)動画の需要が増えるにつれ、X(Twitter)もJASRACと契約を結ぶのでは?と噂されています。
もし契約が結ばれた場合はX(Twitter)においてもJASRAC管理楽曲の演奏が可能となり、更に歌ってみたや弾いてみたの動画投稿がさらに増えるでしょう。
ただ、契約はタダではありません。
X(Twitter)がJASRACと契約を結んだ場合は、投資した分のリターンを求めるため、動画投稿機能に広告が加えるといったいわゆる集金活動が行われる可能性があります。
X(Twitter)動画は手軽さが魅力なので、JASRACと契約を結ぶことが果たして良いことなのかは疑問です。
まとめ
youtubeへのリンクを貼るよりも、X(Twitter)直接動画上げた方が再生回数が伸びます。
しかし、X(Twitter)はJASRACと包括契約を結んでいないため、JASRAC管理楽曲の演奏投稿はできません。
ピアノやヴァイオリンを例にすると、クラシックや伝統音楽はOKだけど、現代のポップスは殆どNG。JASRAC管理楽曲ではないゲーム曲やアニメのBGM等も著作者の許可がなければ演奏不可です。
正直、膨大なアカウントが存在するX(Twitter)において全ての投稿を取り締まるのは不可能で、グレーな状態が続いているのが現状だといえます。
だからといって、そのグレーさに甘えてルールを守らないのは音楽を愛する者として決して褒められた行動ではありません。
個人契約を結ぶ場合であっても払えない額ではないので、どうしてもX(Twitter)に直接JASRAC管理楽曲を公開したい方は、JASRACと個人契約を結ぶようにしましょう。
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