クラシック音楽の曲名を眺めると、オラトリオという言葉を見かけることはありませんか?
クラシック音楽に精通している人ならオラトリオと言われてピンとくるでしょうが、初心者にとっては「何のことだ?」と疑問が浮かぶことでしょう。
そこで今回はオラトリオについて簡潔に説明します。
オラトリオとは?
オラトリオは1640年頃のイタリアで始まった「宗教的な題材による歌詞」をもつ,独唱,重唱,合唱,管弦楽のための総合的で大規模な音楽作品です。
主に宗教的な題材の合唱曲として作曲・演奏されました。
よくオペラと混同されることがありますが、オラトリオは劇ではないので、大道具・小道具・衣装・舞台装置を使用しません。
また、単独の楽曲ではなく、複数の曲から構成される大規模な曲であることから、演奏時間が長めであることも特徴です。
ラテン語オラトリオ・イタリア語オラトリオ・ドイツ語オラトリオ・英語オラトリオが存在しますが、最も厳格なのはラテン語オラトリオであり、その他の言語のオラトリオは俗語オラトリオと呼ばれます。
ぼやっと覚えるとしたら、「やたら大規模な宗教合唱曲」って感じですね。
オラトリオの特徴
オラトリオはもともとローマ・カトリック教会の宗教曲であったため、聖書などから取った台詞を多用し、曲が作られました。多分聴いても何言ってるか分からないと思いますが、実は歌詞に物語性があり、全体として叙事的です。
また、宗教音楽の全盛期だったバロック時代によくオラトリオは作曲されたため、有名曲の多くが同時代の作曲家によって作られました。
バロック時代(古典派含む)の作曲家はカツラがトレードマーク
最も有名なオラトリオは「ハーレルヤ!ハーレルヤ!ハレルッヤ!ハレルッヤ!ハレエルヤ!」のフレーズ有名なヘンデルの「メサイア」であり、その他にもバッハの「復活祭オラトリオ」「昇天祭オラトリオ」、ハイドン「天地創造、四季」といったオラトリオが現代においても人気です。
ちなみにオラトリオと似た形式で作られた楽曲であっても、キリストの受難を扱うものは一般に受難曲と呼ばれます。
オラトリオの語源について
「オラトリオ」の語源は教会や修道院に設けられた祈祷室をラテン語に訳したものと言われています。
祈祷室にて習慣的に行われていた「宗教曲の歌唱」から、カンタータ・マドリガーレ・ラウダといった声楽ジャンルが生まれ、やがて大規模なオラトリオが生まれたようです。
ちなみに世界で最初のオラトリオは1635年から1640年ごろに作られたとされていますが、詳細は一切謎です。ただ、オラトリオのベースをつくったのはエミリオ・デ・カヴァリエーリという作曲家が1600年に作り上げた『魂と肉体の劇』という宗教的内容のオペラだといわれています。
3大オラトリオ
この記事の締めくくりとして、クラシック音楽でもっとも有名な3つのオラトリオ通称3大オラトリオを紹介します。
この3曲をぼやっと聴いておけば、オラトリオのイメージが掴めると思いますので、飛ばし飛ばしでも良いので、是非聴いてみてください。
ヘンデル『メサイア』
メサイアは「メシア」(救世主)の英語読みに由来したオラトリオ。イエス・キリストの生涯を題材とした独唱曲・重唱曲・合唱曲で構成され、歌詞は全て英語となっています。
ハレルヤコーラスが有名ですが、全体を通しての演奏時間は約2時間半とかなり長いです。
ハイドン『天地創造』
古典派の大御所作曲家「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」が作曲したオラトリオ。旧約聖書『創世記』第3章の挿話「失楽園」や、旧約聖書に収められた150篇の神(ヤハウェ)への賛美の詩「詩篇」が主題となっており、全3部約1時間40分の演奏にて音楽が進みます。
メンデルスゾーン『エリヤ』
ロマン派時代を代表する作曲家「フェリックス・メンデルスゾーン」によって作曲されたオラトリオ。旧約聖書の「列王記(上・下)」に登場する預言者エリヤの生涯を題材に取っている作品です。2部構成で楽曲が進み、標準的な演奏時間は約2時間となっています。
最後に
なんとなく、オラトリオについてイメージできたでしょうか?
一般的なオラトリオは、主にバロック時代に作曲された大規模な宗教合唱曲であり、複数の曲から構成される楽曲です。
かなりコアな音楽なので「宗教音楽」に興味が無ければなかなか聴く機会がないとは思いますが、タイトルをみて「この曲は大規模な宗教合唱曲なんだな」とイメージできればそれに越したことはありません。
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