音楽史を学んでいると、「モノフォニー」「ポリフォニー」「ホモフォニー」という言葉が出てきます。
語感が似ているうえに文字も似ていますが、これらは全く異なる概念です。
そこで今回はこの3つの音楽用語の違いについて解説してきます。
現代の音楽シーンではあまり使われる言葉ではありませんが、知っておいて損はありません。
モノ→ポリ→ホモ 順に進化を遂げた音楽の形
「モノフォニー」「ポリフォニー」「ホモフォニー」の3つの音楽用語。
これらは音楽の様式を指す言葉で、主にバロック時代以前の音楽様式を指す言葉です。
「モノフォニー」→「ポリフォニー」→「ホモフォニー」の順に進化を遂げ、バロック時代においてホモフォニーが主流となってからは、それが現代に至るまで定着しています。
モノフォニーとは?
モノフォニーは単旋律音楽の音楽様式であり「一つの声部」からなる音楽です。
単一の旋律だけが続いている音楽を指し、もっともコンパクトな音楽様式として中世の時代から今に至るまで音楽の基礎として存在しています。
古い音楽でいうと単旋律のグレゴリオ聖歌。
近年においては民族音楽がこれに該当することが多く、伴奏を用いないケルト音楽などがモノフォニーに当てはまります。
ただ、単旋律だからといって1人で演奏・歌唱するのがモノフォニーというわけではありません。
1人でも10人でも100人でも、全員が同じ単旋律を弾いていればモノフォニーと呼ばれます。
100人の弦楽アンサンブルがそれぞれ異なるパートを演奏すれば後述するホモフォニーになりますし、仮に100人全員が同じ単旋律を弾いているのであればモノフォニーです。
ポリフォニーとは?
ポリフォニーは多声音楽の音楽様式であり、「複数の声部」からなる音楽です。
特徴は複数の声部が協和しあって進行していくことにあり、各声部の旋律の流れに重点が置かれています。
ポリフォニーは9世紀ごろに生まれ、ルネサンス期において頂点を迎えます。
主に声楽曲に用いられ、宗教曲や世俗曲において親しまれました。
ただ、ポリフォニーは各声部を等しく考えることから、メインとなる旋律が分からなくなるという欠点を抱えていました。
その為ルネサンス期の終盤に差し当たる頃に「旋律と歌詞が軽視されている」と問題視され、次第に廃れていきます。
対位法によるフーガ形式のポリフォニーこそバロック時代に引き継がれますが、古典派時代に入る頃になると、音楽の主流は「ホモフォニー」に変化。
以降の音楽には殆ど用いられることはありませんでした。
ホモフォニーとは?
ホモフォニーは単声音楽でありながらも和声的な要素を含んだ複合的な音楽です。
最大の特徴は主旋律と伴奏という概念があります。
ポリフォニーでは主役となる旋律を作らず、複数の旋律がそれぞれ対等な扱いを受けていました。これは縦の音(和声)ではなく、並行(旋律)を重視した音楽であるからです。
対してホモフォニーでは同時に複数の音が鳴りながらも、旋律は一つとなっています。
ポリフォニーでは並行(旋律)を意識した結果、メロディーが不明瞭になってしまいましたが、ポリフォニーでは和声に趣を置き、メロディーや詩が重視されています。
ホモフォニーでは1声部のみが主旋律となり、残りの声部は和音(コード)の構成音となります。
音の垂直的な結びつきを重視することで、誰にでも聴きやすい音楽様式となりました。
ホモフォニーはバッハやヘンデルといったバロック時代には既に確立されましたが、それから約300年が経過している現代においても音楽はホモフォニーが主流です。
ロックであれ、ジャズであれ、アニソンであれ、勿論バロック以降のクラシック音楽もホモフォニーによって作られています。
総括
モノフォニー:単旋律の音楽
ポリフォニー:メロディーと伴奏の区分けが無い多旋律音楽
ホモフォニ—:メロディーと伴奏が区切られた和声重視の単旋律音楽
言葉を並べるとややこしく感じますが、蓋を開けてみると結構簡単に区別することができます。
ポリフォニーが若干ややこしいですが、取り合えず現代の音楽はホモフォニーが基本ということだけでも押さえておきましょう。
コメント
コメント一覧 (2件)
最後の方文章こんがらがってますよ
確かに。。ご指摘ありがとうございました!