ジャコモ・プッチーニはイタリアの古都ルッカに生まれたオペラ作曲家で、『トスカ』『蝶々夫人』『トゥーランドット』という大人気オペラを作り上げた人物です。
特に「トゥーランドット:誰の寝てはならぬ」はトリノ五輪で荒川静香さんが金メダルを獲得した際に使用された曲であることから、抜群の知名度を誇ります。
今回はそんなプッチーニの生涯について簡潔にまとめてみました。
目次
プッチーニの生涯
プッチーニが活躍した時代は後期ロマン派から近代音楽へ移り変わる狭間の時代。
ルッカの宗教音楽家の家系に生まれたプッチーニは、幼いころから本格的な音楽教育を施され、作曲家としての階段を着々と登っていきました。
当初は宗教音楽家の道に進むための教育を受けますが、ロマン派屈指のオペラ作曲家「ヴェルディ」の作品に感化され、成人を迎える前には方向性をオペラにシフト。
1880年から1883年までミラノ音楽院で勉学に励み、その後ソンゾーニュ・コンクールのオペラ部門にエントリーした『妖精ヴィッリ』が舞台化されたことをキッカケに、一族としては唯一のオペラ作曲家としてデビューを果たすことに成功します。
※父親も宗教音楽家でしたが、プッチーニが5歳の時に亡くなってしまったため、主に伯父から音楽の手ほどきを受けたようです。
33歳になる頃には、トスカーナ州にある「トッレ・デル・ラーゴ」という地に別荘を購入し、本格的な創作を開始します。
その後は 2作目『エドガール』3作目『マノン・レスコー』の公演をさせ、舞台作家ルイージ・イッリカとジュゼッペ・ジャコーザと協力体制を確立。
イタリア屈指のオペラ作曲家としての評価を決定付ける下記3つのオペラが誕生します。
『ラ・ボエーム』・・全4幕で構成されるプッチーニの傑作。ロマンティックなストーリーからイタリアオペラにて最も演奏される機会が多い作品といわれている。
『トスカ』・・暴力的なストーリー、主役3人が死ぬという衝撃的展開が話題に。
『蝶々夫人』・・没落藩士令嬢の蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛の悲劇を描いた2幕構成のオペラ。日本の長崎が舞台となっている。
蝶々夫人の初演こそ散々な評判となりましたが、ラ・ボエームとトスカは初公演から人気を博し、プッチーニは一躍イタリアオペラ界の新星として高い評価を受けるようになります。
なお、蝶々夫人に関しても後に手直しを施し、最終的には代表作として認知されるまでに評価が見直されています。
天性のメロディーメーカーとしての評価
プッチーニのオペラが評価された大きな要因は、メロディーの親しみやすさにあります。
緻密な描写的表現に長けていたこと、フランスにて流行した印象主義音楽の和声を取り入れたことも人気を博した理由ですが、それ以上に覚えやすく口ずさみやすいメロディーを生む才能にプッチーニは優れていました。
玄人が聴いても自然に聴こえる旋律、初心者でも親しみやすいフレーズ感。
いつの時代においても万人受けするメロディーメーカーは絶大な人気を獲得するわけです。
プッチーニの晩年
ラ・ボエーム、トスカ、蝶々夫人を書き上げた後のプッチーニは自動車事故で骨折したり、女性関係のスキャンダルで妻エルヴィーラが起訴されるという不幸に見舞われたため、執筆スピードが大きく落ちます。
ただ、それでも1910年には人気作『西部の娘』を公演。1917年においても喜劇『つばめ』を作り上げ、人気をキープさせることに成功します。
※つばめは喜劇として書かれましたが、プッチーニはこの作品にて自分が喜劇向きではないと悟り、以降は悲劇的な内容に益々力を入れるようになります。
1918年(60歳)には恐劇『外套』悲劇『修道女アンジェリカ』笑劇『ジャンニ・スキッキ』の3曲からなる連作「三部作」を発表し、作曲家としての集大成を飾りました。
最後を迎えたのは1924年(65歳)の時のことであり、重度のヘビースモーカーであったことから1923年に喉頭癌が発覚。翌年に合併症を発症し、この世を去りました。
なお、有名なトゥーランドットに関してですが、この作品は実は未完成のまま残された作品で、友人フランコ・アルファーノが補筆し、世界に発表されました。
ただ、アルファーノが補作した部分は結局大幅に短縮され、現在はカット版が公演されることが殆どです。
プッチーニの代表的な作品
トスカ 星は光りぬ
プッチーニが作り上げた名作「トスカ」は、歌姫トスカと画家カヴァラドッシの悲恋の物語です。第3幕で銃殺されるカヴァラドッシが歌う「星は光りぬ」が特に有名で、フィギュアスケートの定番曲としてロシアの皇帝プルシェンコ選手がプログラムに採用したことでも知られています。
蝶々夫人 ある晴れた日に
イタリアの作曲家でありながら、遠い異国の日本を舞台とした「蝶々夫人」。こちらもプッチーニお得意の恋愛の悲劇を作品で、一番有名なアリアである「ある晴れた日に」は単独で演奏されることも多い人気曲です。
ちなみに、安藤美姫選手がトリノ五輪において使用し、浅田真央選手も2015〜2016シーズンのフリープログラムに採用しています。
トゥーランドット 誰も寝てはならぬ
トゥーランドットは北京を舞台にしたオペラ。蝶々夫人と同じく、アジアを舞台とした珍しい作品です。有名曲はなんといっても第3幕のカラフのアリア「誰も寝てはならぬ」。トゥーランドット姫への愛を熱烈に歌い上げるテノールは全てのオペラの中でも屈指の知名度を誇ります。
トリノオリンピックで金メダルを獲得した荒川静香選手が使用した曲というイメージが強いですが、ピョンチャンオリンピックで銀メダルを獲得した宇野昌磨選手のイメージも強いです。
最後に
イタリアオペラ界のメロディーメーカー「プッチーニ」。初心者でも聴きやすく、現代においても初めてのオペラとして彼の作品を聴きに行く人は非常に多いです。
もし機会があれば、プッチーニは勿論、ヴェルディ・ロッシーニといった巨匠たちの作品も一度聴いてみてください。
これまでオペラに興味がわかなかった人も、新しい世界が開けるかも?
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