歴史に嫌われた不遇の作曲家 サン=サーンスの生涯

サン=サーンスはパリに生まれ、フランスの作曲家として活躍したロマン派作曲家です。
ピアニスト・オルガニスト・指揮者と多岐にわたって活躍した人物ですが、若き頃は中々評価されずに苦しみました。
その名を知っていても、どんな曲を作った作曲家なのかは知らないという方も多いので、今回はサン=サーンスについてご紹介します。

サンサーンス

神童としてキャリアを積んだサン=サーンス

サン=サーンスはモーツァルトと並ぶ神童として若くして頭角を現した早熟な作曲家です。
2歳からピアノを始め、3歳から既に作曲の勉強を始めています。

13歳になる頃にはパリ音楽院に進学。作曲分野では16歳にして交響曲を既に書き上げ、オルガニストとしてはパリでもトップクラスの実力者と呼ばれるようになります。

パイプオルガン

パリ音楽院を卒業したサン=サーンスはマドレーヌ教会のオルガニストを約20年間勤めながら、多岐にわたるジャンルの作曲に果敢に挑戦し、数々の名作を残します。
また、フォーレらと共に国民音楽協会を設立し、フランス音楽の振興に努めたエピソードも有名です。

古典的フランス作曲家として生きたサン=サーンス

フランス系の作曲家といえば「ドビュッシー」「ラヴェル」「サティ」といった美しいフランス和声を活用した印象派のイメージが強いと思います。
月の光や亡き王女のためのパヴァーヌ、水の戯れ、ジムノペディといった曲はまさにフランス音楽の代表作です。

しかし幼少期からベートーヴェンやモーツァルト、ハイドンといった古典派音楽に興味を抱き続けてきたサン=サーンスは、フランスの作曲家としては珍しく「古典的な音使い」を得意とする稀有な存在でした。音楽センスだけでなく、天文学・生物学・絵画といったあらゆる分野に精通してきた彼は「構造的な音楽」を好み、ピアノ曲・室内楽・交響曲を中心に古典派時代の音楽性を彷彿させる作品を次々と世に放ちました。

ただ、いくら優れた音楽を作り上げても需要がなければ評価されないのが世の摂理。
サン=サーンスの音楽性はフランスの音楽性とは若干かみ合わず、神童と呼ばれるほどの実力を持ちながらも中々評価されない時期が続きます。

それはドビュッシーやラヴェルが全盛期を迎えた時期においても変わらず、音楽界への功績からサン=サーンスへの評価が上がり始めても、若手からは絶望的に古臭い曲と批判されました。

古典派の良さを取り入れた古典的な音楽性こそが彼の個性なのですが、当時のフランス音楽界ではその作曲スタイルは時代遅れと呼べるものだったのです。

楽譜

普通は時代に合わせて自分の作曲スタイルを変えていくのが創作者としてのあるべき姿ですが、頑固で辛辣な性格であったサン=サーンスは生涯作曲スタイルを変えることなく、86歳で生涯を閉じるまで古典的な作曲スタイルを貫き通しました。
しかしながら、彼の音楽が当時全く評価されていなかったわけではなく、57歳でケンブリッジ大学から名誉博士号を贈られ、晩年78歳の時にはフランスの最高位勲章であるレジオンドヌール勲章を贈呈されています。

フランスの作曲家としては賛否両論がある人物でしたが、音楽界に大きな功績を残した偉人であることには違いありません。

サン=サーンスの性格

クラシック音楽家は性格に難がある人物が多いです。比較的まともだったのはチャイコフスキー、グリーグといった一部の作曲家のみであり、大半はエキセントリックな性格をしています。

サン=サーンスもその例に漏れず、神童であるが故「出来ない人間の気持ちが分からない」人物であったと言われています。しばしば辛辣な言葉を浴びせたり、空気を読まない行動を繰り返していたようです。

私生活では40歳で一度結婚していますが、約5年余りで離婚しています。子供が相次いで亡くなってしまったことが離婚の原因といわれていますが、彼の性格が結婚生活に全く影響を与えなかったかといわれると疑問が残ります。

サン=サーンスの名曲

サン=サーンスは一般的に知名度が低く、どちらかと言えばマイナーな作曲家です。ただ、彼の作り上げた古典的な楽曲は現在では高い評価を獲得しています。

動物の謝肉祭」より白鳥

パロディ風にさまざまな動物を描写した14曲からなる組曲「動物の謝肉祭」。その中でもチェロとピアノで演奏される優雅な「白鳥」はチェロ奏者の重要なレパートリーとして重宝されています。

演奏時間が長くないので、クラシックに興味が薄い方でも聞きやすい曲です。

 

交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」

サン=サーンスの交響曲として最も評判の高い名曲。3管編成のオーケストラに4台のピアノという大規模編成で演奏されます。ただ、規模が大きすぎるため、日本のオーケストラで取り扱われることは稀です。教会用のパイプオルガンの響きが盛り込まれていることから、「オルガン付き」とも称されます。

 

序奏とロンド・カプリチオーソ

スペイン出身のヴァイオリニスト「サラサーテ」のために1863年に完成させた有名曲。ヴァイオリンと管弦楽のための作品ですが、ほとんどヴァイオリン協奏曲のような内容です。

煌びやかで技巧的な曲であり、サン=サーンスの曲のなかでもトップクラスの人気を誇ります。

音楽を題材としたアニメ「4月は君の嘘」にて演奏されたことで話題になりました。

まとめ

サン=サーンスは古典的技法に最後まで拘りぬいた音楽家です。晩年は印象派の音使いに近い楽曲も残しましたが、基本的には「フランス唯一の古典的作曲家」として知られています。

フランス音楽が好きな方は苦手に思うかもしれませんし、逆に古典派が好きなクラシックファンには聴きやすい音楽性かもしれません。

好き嫌いが分かれる作曲家ですので、何曲か試しに聴いてみるのも良いと思います。

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