世界には様々な弦楽器が存在します。
メジャーどころではヴァイオリンやチェロ、ギター。マイナーなところではニッケルハルパ、ハーディングフェーレ、シタールなどがあります。
今回紹介するブズーキもマイナーが弦楽器に該当する楽器であり、一般的な知名度はとても低い楽器といえるでしょう。
弦楽器に興味のある方は雑学としてブズーキについて最低限の知識を持っていても良いと思うので、ご紹介します。
ブズーキってどんな楽器?
ブズーキはギリシャやセルビア、バルカン半島などで使われる民族楽器です。洋梨を半分に割った形をしており、マンドリンと同じくリュート属に数えられます。
奏法自体もマンドリンに似ており、指ではなく金属のピックで弦を弾くことで音を出します。
出典:wikipedia
マンドリンとの共通点が多いことから区別が付かないと思われる方も少なくありませんが、ブズーキは長いネックを備えているため、実はすぐに見分けが付きます。
楽器を持った感覚としてはギターというよりはベースに近いです。
ブズーキの歴史
ブズーキの歴史には諸説ありますが、ブズーキの祖先となった楽器は遥か古の時代のメソポタミアで誕生したといわれています。
その後エジプトやトルコといった中東地域に伝わり、やがて古代ギリシャに伝わったようです。
なお、ブズーキは最初から現在の形をしていたわけではなく、時代によって様々なブズーキが生まれました。
20世紀の始め頃は三味線のような復弦3コース(CFCチューニング)のブズーキが普及。20世紀後半になる頃には復弦4コース(CFADチューニング)のブズーキがギリシャを中心に普及したようです。
3コースのブズーキはエキゾチックな音が鳴り、4コースのブズーキは現代的な音がなる傾向があります。
メジャーなのはアイリッシュブズーキ
ブズーキはギリシャ発祥の洋梨型弦楽器ですが、現代においてよく見かけるのはフラットバックの形状になっている「アイリッシュブズーキ」です。
アイルランド伝統音楽バンド「スウィニーズ・メン」のメンバーであったジョニー・モイニハンがギリシャの伝統楽器であるブズーキをアイリッシュ音楽に取り入れたことをキッカケに、アイルランド音楽の王御所「ドーナル・ラニー」によって定着しました。
アイリッシュブズーキはマンドリンと同じ復弦4コース、合計8本の弦が配されたギターの改造型のような楽器であり、金属弦らしい煌びやかな音が鳴ります。
調弦は他のD管楽器に合わせ、G-D-A-Eが用いられることが多く、フィドル、バンジョー、マンドリンと同じ調弦となります。
当初は伴奏楽器として扱われましたが、現在は主旋律を弾くことも増え、寧ろギターよりもメジャーなアイリッシュ楽器になりつつあります。
尚、ギリシャブズーキは歴史の古い楽器ですが、アイリッシュブズーキに関してはまだまだ歴史が浅いため、明確な奏法やチューニングが確立されていません。
そのため奏者によって様々な使い方をされています。
ブズーキの音色を聴いてみましょう
ブズーキの音色はギターよりも金属感があり、独特な響きがします。
民族音楽を中心に様々なジャンルの音楽に合わせやすいですが、やはりアイリッシュ音楽で使われるのが一般的です。
最後に
遥か昔に生まれ、ギリシャの民族楽器として発展してきたブズーキ。
近年はアイリッシュ音楽に組み込まれたことをキッカケに、アイリッシュ楽器として認知されるようになりました。
アイリッシュ音楽に興味がある方は、敢えてギターではなくブズーキを演奏してみるのはいかがでしょうか?
調弦がフィドル・マンドリン・バンジョーと同一な上に個性的な煌びやかな音色が楽しめるので、悪い選択肢ではないと思います。
合わせて読みたい関連記事