クラシックを嗜む方にはあまり馴染みがないバンジョー。
楽器に興味が無い人には任天堂のゲーム「バンジョーとカズーイの大冒険」のクマが連想されてしまうかもしれません。
しかし、バンジョーはカントリー音楽やブルーグラス、さらにはアイリッシュ音楽でも活躍する非常に優れた楽器です。
近年は密かに演奏人口が増えており、知名度も向上しています。
そこで今回はバンジョーについての基礎知識を解説していこうと思います。
バンジョーってどんな楽器?
バンジョーはギターと同じ弦を弾くことで音を鳴らす撥弦楽器です。
アメリカ アパラチア地方で奴隷として働いていたアフリカ人がアフリカの楽器の特徴を複数取り入れることで作り上げた「ゴード・バンジョー」が現在のバンジョーの元となりました。
アメリカ発祥の楽器ということもあり、主にバンジョーが使われるのは「カントリー音楽」や「ブルーグラス」といったアメリカの音楽ばかり。
ジャズの歴史の始まりとなった「ディキシーランドジャズ」においても使われることが多く、アメリカ音楽が好きな人にとっては、見かける機会が多い楽器だといえます。
バンジョーの構造と調弦
バンジョーは金属製または木製のリム(外周の環状パーツ)にポリエステルもしくは山羊の皮を張った比較的単純な楽器です。
様々な素材が楽器の材料となっていることが特徴で、ネック・ブリッジの主な材料はメイプル、ウォールナットが使われます。
ネック・ブリッジはリムの12時位置に接着。
弦の数は4本もしくは5本です。
尚、一般的にバンジョーと呼ばれる楽器は5本の弦が張られた「5弦バンジョー」を指すことが多く、低音から「GDGBD」に調弦されます。
ガット弦が張られることも稀にありますが、基本的には金属弦が用いられ、金属製の爪を使って弦を弾いて演奏されます。
ちなみに黎明期においてはフレットがないバンジョーも存在しましたが、現在はフレット有が主流です。
2タイプあるバンジョー
ここまでバンジョーがどんな楽器であるかについて説明してきましたが、加えてバンジョーには大きく分けて以下の2タイプが存在することを覚えておいてください。
リゾネイター・バンジョー:共鳴装置あり
オープン・バック・バンジョー:共鳴装置なし
リゾネイター・バンジョーには取り外し可能な共鳴箱が備えられており、演奏時に音が共鳴し、独特な印象を与えます。
対してオープン・バック・バンジョーは共鳴装置を持っていないタイプであり、楽器が持つ素朴な音色を楽しむことができます。
共鳴箱の有無によってバンジョーは大きく性能が変わるのが特徴です。
左:共鳴箱あり 右:共鳴箱なし
さらにバンジョーにはネックが長い「ロングネックバンジョー」やピックアップを持つ「エレクトリック・バンジョー」といったバリエーションも存在しますので、興味がある方は細かな種類について調べてみるのも良いでしょう。
4弦バンジョーについて
アメリカ音楽に用いられ、5本のスチール弦を金属の爪を弾いて演奏するのが一般的なバンジョーです。
しかし、ディキシーランドジャズや、ヨーロッパの歌謡曲、ラテン音楽、特にケルト音楽においては5弦ではなく、4弦のバンジョーが使われます。
4弦バンジョーにはテナーバンジョー、プレクトラム・バンジョーといった幾つかの種類があり、それぞれ調弦が異なります。
例えばケルト音楽で使われる4弦バンジョー(アイリッシュバンジョー)はヴァイオリンと同じく「GDAE」で調弦され、主旋律を単音で演奏することが特徴です。
いずれにせよ5弦バンジョーのように3本の指で高速アルペジオを弾くことは少なく、旋律弾きかコード弾きをすることが多いです。
ちなみにケルト音楽においてヴァイオリン(フィドル)・マンドリン・バンジョーは全て同じ調弦となるため、ヴァイオリン(フィドル)が弾けるとマンドリンやバンジョーもある程度弾けたりします。
バンジョーの演奏は難しい
バンジョーは撥弦楽器の中でもサスティン(音が消えて行く際の伸び)がない楽器です。
弦を弾いてからすぐに音が消えてしまうため、基本的には右手の親指・人差し指・中指を非常に速く動かし、アルペジオ的なメロディを奏でるのがバンジョーの基本となります。
何となく想像がつくと思いますが、3本の指を高速回転させ、尚且つ左手にも気を使わなければいけないため、バンジョーの難易度は弦楽器の中でもトップクラスに難しいです。
指の動きを注目すると、かなり技巧的であることがわかります。
ポピュラー音楽はクラシックよりも比較的簡単なイメージがありますが、バンジョーに関しては相当努力しないと思うようなサウンド感が出せないかも知れません。
最後に
バンジョーは個性的な音が出る楽器なので、どんなジャンルにもマッチするとはいえません。しかし、一定ジャンルにおいては無くてはならない存在だといえるでしょう。
また、バンジョーはカントリー音楽やブルーグラスで活躍する5弦バンジョー、アイリッシュ音楽で活躍する4弦バンジョーに分かれます。
ジャンルによって活躍するバンジョーが異なるので、購入する予定がある方は注意が必要です。