約2年ほどかけて製作してきた1本目のヴァイオリン。
ヴァイオリン製作は難しいとは思いっていましたが、正直これほどまでとは思いませんでした。
しかし、だからこそ面白くやりがいがあります。
今回は1本目のヴァイオリン作りの最終回。最終調整について解説します。
ナットの調整
ナットの調整はセットアップに入った状態であれば、いつ調整しても構いません。
ただ、私は最後の最後になってしまいました。
ナットの調整は主に形と高さの調整をします。絶対的な正解はありませんが、基本的にはナットはカマボコ型にデザインし、両端はやや丸く削るとカッコよく見えやすいです。
デザイン図は写真の通り。
曲線が重要なので、角ばったデザインにならないように気をつけましょう。
尚、ナットの高さに関してはG線が0.8mm、E線が0.5mmほど。
D線、A線に関しては間を繋ぐように高さを調整します。
弦高が低すぎても高すぎても演奏しずらくなります。難しい工程ではありませんが、注意深く削ってください。
完成図をイメージしながらヤスリで形を整えていきますが、この際に気をつけたいのは側面を削りすぎてしまうこと。ナットは丸みのあるデザインですが、削りすぎるとそれはそれでダサくなります。
形を整えることができたら、最後は紙ヤスリで仕上げます。最後は1000番で整え、艶やかな雰囲気になればOKです。
弦のレーンを作る
ナットの形を整えたら、弦が通るレーンを作ります。
手順としては、コンパスを使ってペグボックスの延長線上に点を打ちます。写真ではコンパス左がG線が通る箇所、右がE線が通る場所を想定しています。
点を打ったら、ナイフで点の位置に薄く切り込みを入れます。この際の注意点はややハの字に切り込みを入れることです。真っ直ぐすぎると弦に負担がかかってしまいます。
切り込みを入れたら、写真のような先端の細いヤスリを使って溝を広げます。
溝は浅くても深くてもダメ。だいたい弦が1/3〜1/4ほど収まるサイズ感がベストです。
G線・E線の溝が削れたら、次はD線・A線も削ります。
工程としてはG線とE線の間を3等分して、G線とE線と同じように点を打ちます。
点を打ったあとは再びナイフで切り込みを入れます。
ただ、D線・A線に関しては直線的な溝に仕上げます。弦が張られたD線・A線を見ればわかりますが、この両線は駒に向かって真っ直ぐに伸びているので。
D線・A線も細いヤスリで削ります。ちなみに弦はE線に向かうにつれて徐々に細くなるので、使うヤスリも細かくした方が仕上げやすいです。
4レーン分の溝が削れた時点でナットは完成となります。
テールピースを付ける/弦を張る
ナットが完成したら、いよいよ仕上げとしてテールピースを付けます。
テールピースを付ける為にはエンドピンをはめておく必要があるので、外れないようにシッカリとエンドピンをはめます。
もしエンドピンが入らないようであれば、リーマーを使って穴を広げてください。ただ、この際に穴を斜めに開けないように気をつけてください。
エンドピンを付けたら購入しておいた「テールピース」と「フックパーツ」を用意して取りけます。
ちょうど良い長さに調節したら、ペグを付け、ヴァイオリンに駒を乗せ、テールピースの穴に弦を通して弦を張りましょう。
とりあえずは弦を張るのはG線とE線だけでOKです。この状態で問題がなさそうであれば、駒にもD線・A線の溝を作り、ナットと同様にヤスリで削ります。
弦を張る際には駒がちゃんと真っ直ぐ立っているか、ペグがすぐ緩まないかもチェックしてください。特にG線はテンションが強いので、ペグが緩みやすくなっている場合があります。
大丈夫であればD線・A線も張って不具合がないことを確認しましょう。
4本の弦を張ったら、すぐに調弦。
調弦された状態でちゃんと音が出たら遂にヴァイオリンの完成です。
工程的には完成ですが、汚れがある部分のクリーニングやネック裏の艶出し、f字孔内側のニス塗りといった工程も行った方が良いです。
ヴァイオリンできました!
数々の工程を経て遂にヴァイオリンが完成。
仕上がった時は完成した嬉しさよりも上手くいかなかった部分の悔しさの方が大きく、「とりあえず出来た・・」という安堵感が強かったです。
完成したヴァイオリンはオレンジ色のやや小ぶりなヴァイオリン。ペグやテールピース、顎当てには柘植を使いました。木工やニスは至らないところが多かったせいかツッコミどころがありますが、音自体はよく鳴る楽器に仕上がったと思います。
裏板は2枚板。いい感じな色味になっており、遠目から見ている分には綺麗な仕上がりになっています。私のヴァイオリンはニスが柔らかいようで、扱いには注意が必要になりますが、問題なく演奏は可能です。
さて、ひとまず一本目のヴァイオリン製作は今回で終了となります。
出来る詳しくレポートを残したつもりですが、説明不足だったり、写真がわかりにくかったりと反省点も多かったです。
製作も記事も今作の反省点を生かし、より良いモノを作っていきたいと思っていますので、今後とも何卒よろしくお願い致します。