横板・裏板・表板。ヴァイオリン製作がある程度進んできたら、各種パーツの購入を検討してもいい時期になります。もちろん、完成間近になってから買っても全然良いのですが、毎年11月に行われる「弦楽器フェア」やヴァイオリン輸入材料店のセールで各種パーツを買うととてもお得なプライスでパーツを手に入れることが可能です。
そこで今回はヴァイオリンパーツの選び方を紹介しようと思います。
1.ヴァイオリン輸入店「タツノヤ商会」のセール
出典:http://www.tatsunoya.co.jp/
タツノヤ商会はヴァイオリンや各種パーツ、木材といった弦楽器関連商品の卸売業者です。1924年(大正13年)に創業された老舗として、業界では有名なお店でもあります。
そして、タツノヤ商会では年2回「決算セール」が開催されており、各種パーツを非常に安く買えるのです。通常価格の半額以下で買える商品もあり、弦楽器製作者の中にはこのセールを狙って買い出しにくる方もいます。
で、私もその方々に倣って、パーツを揃えに行ってきました!
2.購入すべきパーツ「テールピース・エンドピンペグ・顎あて・指板」
完成に向けて、今回購入すべきパーツは弦と本体を固定する「エンドピース/エンドピン」、顎を乗っける「顎あて」、ネックに取り付ける「指板」です。そのどれも、タツノヤ商会やその他弦楽器材料輸入店で購入できますが、初めてヴァイオリンを作る人にはどれを選んでいいのかわからない事態に陥ります。
今回はお店の方や先生に選び方のコツを聞いたので、それをメモしておこうと思います!
これらのパーツは音に関係するのか?
弦楽器を作る方なら、まず気になるのはこの項目でしょう。各種パーツは安いものから高いものまで幅広いラインナップが用意されているため、「高いやつを使えば音がよくなるんじゃ!」と思いがちです。
確かに、パーツによって音は変化しますが、超高額のパーツを使ったからといって劇的に音が変化するわけではありません。むしろ、重要なのはパーツがどのような素材でできているかの方が重要です。
指板を除く、テールピース・エンドピン・ペグ・顎あての材料はそのほとんどが「黒檀・ローズウッド・ツゲ」でできています。そして、この材料によって音が変化するのです。
とはいっても、音が大きく変化するのは「テールピース」ぐらいで、その他のパーツはデザイン上の好みといえます。
ちなみに、指板はある程度の品質があり、削りやすいものを選べば基本的には問題ありません。安くて粗悪なものは避けて、良質なものをチョイスしましょう!
3.材料による音の差
各種パーツはヴァイオリン本体の音色か仕上げ方によっても合うパーツが決まってくるので、基本的には楽器本来のコンセプトにあった材質のパーツを選びます。また、基本的には「テールピース・エンドピン・ペグ・顎あて」は同じ素材のもので揃えた方が統一感があって良いのではないでしょうか。
つまりは、
・本体の雰囲気、デザインに合うパーツを選ぶ
・本体の音色、目指している音色にあった素材のパーツを選ぶ
・すべてのパーツの素材を揃えて統一感を出す
ことを意識すれば、あとは気に入った柄のモノを選べば問題ないと思います。ちなみに、高い商品は仕上げや高級感があり、楽器の格調がワンランク上がります。
が、音が進化するかといわれると、そうでもないです。ただし、ペグの巻き上げのしやすさや耐久性には大きく影響しますので、ある程度いいものを買った方が無難かもしれません。
※ヴァイオリン製作の腕前が上がった時には、雰囲気がかっこいい高級パーツを使ってみたいです。
黒檀・ローズウッド・ツゲの特徴
黒檀はドイツ系のヴァイオリンによく装着されている素材です。色が黒く重量があることが特徴で、音も重厚な感じとなります。見た目的には新作仕上げのほうがしっくりきそうです。
耐久性が高いことが特徴と、良質なものならば何十年も使用することができます。
ツゲは3つの素材の中でもっとも軽い材料です。重量が軽いため、音も明るくなるなります。また、オレンジ系の色はアンティーク仕上げの作品と相性が抜群です。
とにかく軽く、視覚的にも美しいため人気があるツゲ素材ですが、耐久性が黒檀に比べて劣るという注意点も持ち合わせています。
ローズウッドは様々な模様があり、高級感がある見た目を特徴とする素材。音は黒檀とツゲの中間です。また、見た目的には新作仕上げ・アンティーク仕上げどちらでも合わせやすいでしょう。
品質によって仕上がりに差がある素材でもあるため、あまりにも格安すぎるローズウットは少し注意した方がいいかもしれません。
4.テールピースの長さについて
テールピースを実際選ぶことになるとわかりますが、実はこれ長さがまちまちなんです。
左のテールピースは110mm、右のテールピースは115mm。多くのテールピースは115mmほどで販売されていることが多いのですが、実は110mmの方が最終的に調整しやすいため、オススメです。(削ったりカスタマイズすることもあるので一概にはいえませんが)
ちなみに私の先生は107mmのものを注文して使用しています。
まとめ
ヴァイオリンの各種パーツはそれ自体で音を大きく向上させるものではありません。だからこそ、セールやイベント時に少しでも安く購入しておくことをオススメします!
そして買うときは好みの素材の「テールピース」選び、それに合わせてその他のパーツを揃えるのが無難です。近所に弦楽器輸入店がある方は、是非情報を集めてみてください。