オーボエってどんな楽器なのか知ってますか?
オーボエはフルート・クラリネット・ファゴットと並ぶ主要木管楽器の一つです。
形は円錐管となっており、ダブルリードにて発音をします。
主にオーケストラ・吹奏楽といったジャンルにて活躍する楽器ですが、他の木管楽器よりも奏者人口が少なく、名前はなんとなく知っていてもどんな楽器かは意外と知られていません。
そこで今回はオーボエについての基礎知識について解説していきます。この機会に是非オーボエについての知識を深めてみましょう!
オーボエってどんな楽器
オーボエは「牧歌的」「神秘的」な音を出す木管楽器です。
普段クラシック音楽を聴かない人にとってはあまり馴染みのない楽器かもしれませんが、憂いを帯びたその独特な音色に心惹かれる人は少なくありません。
また、オーボエはクラリネットやフルートよりもコンパクトな設計であるため、体格が小柄な方や手が小さい方にも吹きやすい楽器です。肺活量もあまり必要としない楽器ですので、基本的には吹きやすい楽器とされています。
しかし、、
実際はオーボエ特有の「息が余る」設計、ダブルリードの扱いの難しさから、初心者にとって最難関の木管楽器といわれています。
特に息が余る楽器の特性は吹くものにしか分からない息苦しさがあり、奏者を苦しめます。
プロの奏者であってもオーボエが他の楽器よりも息苦しいことには変わりなく、作曲家がオーボエの特性を気にせずオーボエに長いフレーズを与え続けると、奏者が酸欠になります。
加えて「運指が難しい」「音程がとりにくい」といった特性もあるため、一般的に難しい楽器であるという認識をして良いでしょう。
オーボエっていつから存在するの?
オーボエ自体は17世紀の中頃にフランスで生まれたと言われていますが、その元祖となったダブルリード楽器自体は歴史がかなり深いです。
詳細は定かではありませんが、中世の時代からヨーロッパやアジアなどで親しまれていた「ショーム」「トルコのズルナ」「エジプトのハリル」といった楽器がオーボエの祖先とされており、それらの楽器を”室内楽用に改良することによって、徐々にオーボエという楽器が確立されていきました。
ただ、初期のオーボエ(17世紀頃のモノ)はかなり簡易的な作りであったため、実用的な楽器として扱われるようになったのは18世紀末頃です。半音のピッチが不安定であったため、あまり合奏には用いられませんでした。
また、オーボエにはドイツ式のオーボエとフランス式オーボエが存在しますが、現在のオーボエの主流はコンセルヴァトワール式とも呼ばれるフランス式が使われています。
後期ロマン派の作曲家「リヒャルト・シュトラウス」がフランス式のほうが良いといったことがキッカケで、20世紀以降にフランス式オーボエが主流として広まったらしいです。
オーボエはオーケストラの音合わせの基準
オーケストラを聴きにいった経験がある方なら分かると思いますが、オーボエは演奏する前に音合わせのラ(A音=標準音)を鳴らし、その音に合わせて他の楽器が調弦をします。
「でもなんでオーボエが担当するの?」と思ったことはありませんか?
その答えはオーボエの音程は当日に調整できないからです。
ヴァイオリンやチェロといった弦楽器は気温や湿度の影響を受けやすく、音程が不安定です。そのため、楽器奏者が頻繁にチューニングできる設定となっています。また、弦楽器に限らず、他の殆どの楽器も何かしらの方法で音を調整することが可能です。
しかし、オーボエは楽器の構造上、リードの抜き差しでしか音程を調整することができません。
「はーい、あと30分で開演でーす」という状況でピッチを調整することができないのです。
と、いうことでオーボエに皆が合わせます。オーボエが完璧な音程だからではなく、オーボエが不器用な楽器なため、オーボエに合わせざるを得ないのです。
オーボエとクラリネットは形が似ている
オーボエはクラリネットとよく似た見た目をしていることでも知られています。
木管楽器において「フルート」と「ファゴット」は一目でわかりますが、オーボエとクラリネットは黒いボディにシルバーのキーというデザインの特徴が似ているため、音楽初心者にとっては区別がつきにくいです。
ただ、クラリネットとオーボエは吹き口が大きく異なります。
クラリネットはマウスピースにリードを挟んで演奏を行いますが、オーボエはマウスピースを使わずにダブルリード(リードが2枚付いている)で発音をします。
また、クラリネットの先端部分はラッパのような形になっていますが、オーボエの先端は丸いパイプみたいな形です。
オーボエの音域
オーボエの音域は中央ド(C3)から2鍵盤左のB♭(B♭2)から2オクターブ半。最高音はG5です。人の声に近い音域となっているため、聴いていて落ち着きを与えます。
ゲームや映画などで「序盤の街」に使われることが多いのは、牧歌的な音色に加え、音域的にも安らぎを与えるからでしょう。
尚、オーボエの音域はクラリネットと被っており、最高音は殆ど一緒です。
しかし、クラリネットの方が低音の音域が広いのでクラリネットの方が楽譜ではオーボエよりも下に書かれます。(フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴットの順)
オーボエが魅力的に聴こえる音域
オーボエが得とする音域は「中音域」です。人が歌う音域と重なる中音域は、哀愁を帯びたメロディアスな音色を奏でます。
ただ、高音域は吹きにくく、低音を強く吹くことは苦手です。最低音はB♭となっていますが、実際は出ない音だと思って構いません。(実際B♭2が使われることは殆どない)
クラリネットと良く調和する
オーボエとクラリネットの音色は音域近く、美しい融合します。アンサンブルで同時に使われることも多く、同じフレーズを演奏するケースも多いです。
実際にオーケストラのスコアを見るとしばしば同じフレーズを吹いているので、一度確認してみてください。
オーボエの音色を聴いてみましょう
魔女の宅急便 風の丘 オーボエ二重奏
NHK連続テレビ小説「あすか」 風笛~あすかのテーマ~ 大島ミチル
バッハ:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲
まとめ
煌びやかなフルート、万能楽器であるクラリネットと比較するとオーボエはやや取っ付きにくく、比較的マイナーな楽器とされています。音色自体も華やかな音色ではなく、決して万人受けする楽器ではありません。
しかし、憂いを帯びた神秘的な音色は、他のどの楽器にも表現することができない個性を持ち合わせます。
この「いぶし銀のような渋さ」こそが堪らないわけです。
オーボエは映画音楽やドラマでも結構使われているので、映画を見に行った際などによく耳を澄ませて聴いてみてください。
コメント
コメント一覧 (2件)
自主学習で、いつも見てます!
ありがとうございます!